放課後知らない女子から呼び出され、まぁいわゆる校舎裏の告白?つーのを体験するつもりだったのに、呼び出された内容は
「これ、御幸くんに渡してもらえませんか?」
恥じらう目の前の女子の名前は知りもしねぇし、多分これ御幸も知らねぇ子だわ。
差し出されたのはクッキーとラブレターみたいなやつ。
「悪ぃけど、そういうの自分で渡してくんね?」
呆れてでた息は、地球侵害する濃〜い二酸化炭素。
しょうもねぇ時間食っちまったわ。
返事も聞かずにその場を去る。
待って、とか聞こえたけど、聞こえないふり。
教室に荷物置いたままなことを後悔した。
「あ?寝てやがんの」
戻った教室に一人机に突っ伏してるバカが見える、
まーた何か落ち込んでんのか?
なんて俺の優しい心配は無駄で近寄って見れば、机に散らばる写真の上で寝こけていた。
ヒャハ!ヨダレが純さんの写真に垂れてんぞ!
あとで慌てふためく様子が目に浮かぶ。
よく見れば大事そうに一枚握っている写真は、覆い被さった体で見えない。
「おい」
椅子を蹴れば面白いほど驚いて飛び起きる。
「え?!何?!」
手から離れて机に落ちた写真。
「ヒャハ!なんだこの間の」
チーター様の俊足スライディング写真じゃねぇかよ。
躍動感ある、ってこういう時に使うんだろうな。
あの時あの瞬間の喜びや思いが蘇って、心臓がばくんとひと鳴りする。
未だ寝ボケて混乱しているみょうじは、自分の口から垂れてるヨダレを拭っていた。
「今度のコンクールに出す写真、選んでて……ああっ!純さんの写真がぁ!!」
「コレにしとけ。絶対一番になれっぞ」
俺がこいつの賞も掻っ攫ってやる。
さっきまでのやるせない思いはいつの間にか忘れてしまっていた。