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天使と破壊
今日も赤葦くんが輝いています。
歴史の後半戦、彼は船を漕いでいました。漕いだ船はそのまま夢の世界へ旅立ったようです。私は全身全霊でその旅路を見守っていました。
ガチ見してます現在進行形。
休憩時間になっても起きない彼は、太陽が祝福しているかのように、キラキラと光に照らされ――

「天使…」

感嘆のように漏れた少し大きめの声に、慌てて口を塞ぐ。残念ながらそのせいで、天使を起こしてしまったようです。

「……ん?天使ってなに?」

少し寝ぼけ眼の彼と目が合い、再びメテオがこの世界を襲う。眠そうに目を擦る仕草が、私のハートを掴んで離さない。鷲掴みならぬ梟掴み。

「っなんでも、ないっ!」

「そう?……ていうか、みょうじ、見過ぎだから。穴が空く」

「…み、み!見てないし!!なんにも!髪が輝いてるとか思ってないし!!」

思ってたけど、思ってないってことにしといて!お願いだから!

最近、隣の席で、同じ委員会で、すごく会話が増えてきている。嬉しいけど、こんな雑な自分の態度や反応がすごく嫌で、自分から話しかけるのは……怖い。
でも、赤葦くんが時折ふと話しかけてくれることが嬉しくて、頭の中にお花が咲いてしまう。

「みょうじ、悪いんだけどノート見せてくれない?俺全然書いてなかった」

そうですよね、船漕いでましたもんね。そんなあなたが可愛くて見惚れてノートどころじゃなかったよ私も。

「…………取ってない」

「は?授業聞いてなかったの?」

それ、赤葦くんに言われたくないけど。赤葦くんに夢中でノート取ってなかった事実は変わらない。

「そんなに見惚れてた?」

「っな?!!」

驚いて顔を上げると、ニヤリと笑う彼。
本日二度目、私の世界は崩壊しました。恥ずかしくて、でもかっこよくて、眩しくて、神々しくて……私は地下に潜りたい!!!見惚れていたとなぜ知っているんだ…!

次の授業の予鈴が鳴る。

「次はちゃんと授業、聞いてなよ?」

言い返す言葉、お願い出てきて!
無理でした。即諦めました。
本鈴と共に先生が教室に入ってきて、起立をする。

神様が私の心を弄ぶんですが、次回も予告は……あ、ないですか。そうですか。



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