「水城凛、俺に付き合え」 「…は?」
平平凡凡な私の人生が変わろうとした瞬間? いや、そんなもんじゃないだろ。どっちかってーとこう…私の人生の中ですんばらしい出来事が起こった瞬間と言ったほうがよくないか?
私の家は平っっっっ凡で、普通に普通にものすごく普通にいやもっといえば普通すぎるかんじで… 学校も普通、容姿も普通、生き方も普通。
「すみませんが…あの、どちらさまで…」 「銀魂高校三年Z組高杉晋助」 「ぎ、銀行?」
…少し頭の出来が悪い事だけを除いて。
「あの…私、銀魂高校じゃないし、貴方様みたいな美少年と吊り合う様な容姿を持った覚えもございませんが…」 「別に構わねェ」
うっひょー!! 別に構わねェだとぅ!?私、そんなすっごい美人な訳でもないし、すっごい可愛い訳でもないのにそんなかっこよさげな台詞聞かせてもらっていいのかァァァ!!
「え、えへへ?でも、そのぉ私ぃ…恋愛経験とか豊富じゃなくてぇ…まだ貴方のことも知らないからぁ…どぉしよっかなぁ」 「何かわいこぶってんだ、ブス。」 「ぶ、ブスゥゥウ!?いくら普通だからってね!ブスって言われたことは生まれてから一度もないのに、ブスはないんじゃありませんかァァァ!?仮にも貴方が私に告白したんですよ!?たしか…えー…高杉さん?」
彼、家にまで来て告白したのに私のことブス呼ばわりしやがったぜ、チクショー! んだよ、コイツ。殴っていいかな?いいかな? 私にそんな力があればの話しだけど。元気玉とか打てるくらいの力があったらの話だけど。
「俺はお前に付き合えって言ったんだよ。」 「ま、まさか…付き合えってそっちの付き合え?」 「そうに決まってんだろ」
し、しまったァァァ!! ものっそい恥ずかしい。私、今年一番恥ずかしい。 みんなの前で屁ェこいた時よりも恥ずかしい。
「くっ…急に腹痛が…っ。すまぬ、おぬしは一人で行っておくれ」 「いいから来い」 「おねえちゃーーーん。俺のモンハンしらね?」 「知るかァァァァ!!自分で探せや、コルァァァ!!」
高杉さんに連れて行かれる場所はどこなんだろうとワクワクしながら歩いていくと、そこには学校。 私の学校じゃないけど学校があった。
「これが銀魂高校?」 「そうだ。明日からお前はここに通うことになったから。」 「え?意味分からん。もーちょっとちゃんと説明して」 「じゃあな」 「じゃあなじゃねェェエ!!」
明日から私はどうすればいいの!? 私、これからどうなっちゃうの!? ずーっとずっとずーーーーっとこれから銀魂高校に通うの? 嫌だよ、私。今の学校から離れるなんて嫌!
「ちょ…ちょっと待ってよ!」 「あ?」 「そ、その目つきやめなさい!別に怖くないけどね!!」 「じゃあなんでそんな手がガタガタ震えてんだよ。」
そ、そこはいいんだよ、そこはァァァ!! とりあえず、私はかっこよく言おうとしたのに、なんだこいつ! めっちゃ目つき怖ぇぇ。そこら辺のチンピラよりも怖いんですけどぅ!?
「と、とりあえず話をしてもいいかな?」 「さっさとしろ」 「イ…イエッサー!私は銀魂高校に行きたくないのですがァァァ!!どうすればいいのでしょうかァァァ!!」 「どうしよもねェんだよ、もう決まったんだから」 「イエッサー!隊長!!」 「お前の隊長になった覚えはねェけど」 「イエッサー、隊長!」 「だから隊長じゃねェって」 「イエッサー隊長」 「もうなんか名前みたいになってんぞ」
こんなくだらないことやってる場合じゃないよねェェ!? 普通、ここだったら涙を流して「今…好きな人がいるの…だからお願い…!!連れて行かないで…!!」とか言うべきでしょォォオ!?
私にそんな恥ずかしいことを言えというのかァァァ!!私は馬鹿かァァァ!!どんだけ恥ずかしい思いすればいいんだァァァ!!
「あ、もう心の中で叫んだんで疲れました。帰ります。」 「あ、そ。じゃあ」
そうじゃねーだろォォォ!?おい、勇気を出して言うんだ!言うんだ、凛! どうして貴様は言えないんだ!どうして言えないんだ凛!
「あ、そうだ。イケメン多いぞ」 「行くぜ、銀魂高校ォォオ!!」
やっぱり馬鹿だろ、私ィィイ!! ま、諦めはついてたんだけどね。
|