「名前ちゃ〜んっ」
「うざいっ!近寄るな変態っ!」


毎日毎日、私を観察してる奴。
家にまで来るからそろそろ私もブチッときそう。


「なんなの!?用があるなら言ってよ!」
「名前の顔が見たかったんでさァ。声も聞きたかったし。」
「ああそう。ならもういいでしょ?どっか行ってよ。」


あーこんな奴と同じクラスなんて最悪。
毎日毎日、こうやってやられてたらそりゃ嫌にもなるわ。
堪えてる私は偉いと思う。


「別に、教室に行けば聞けるのに。わざわざ、家にまで来なくたっていいでしょ。」
「名前の顔が朝一番に見たかったんでさァ。これで目が覚めやした」
「あーそう。よかったわね。それじゃあ」
「待ってくだせェ!一緒に行きやしょうや」
「…別にいいけど」


小さくガッツポーズをするこいつ。
本当にどうしようもない馬鹿だと思う。
なんて、アホなんだろう。


私なんかのどこがいいんだか。


「名前ってなんでそんなに可愛いんですかィ?」
「生まれつき…って何回言えばいいの?」
「俺、そんなに可愛いから名前のこと好きになっちまいやした。こんなにかっこいい俺が惚れたんですぜ?名前と俺が付き合ったら美男美女のカップルでさァ!」
「はいはい、そうですね。」
「今まで聞いたことなかったけど、名前は俺のこと好きですかィ?」


本当に唐突に聞かれた。
顔にはあまり出してないつもりだったけど、すごくびっくりした。


今までそんなこと考えたこともなかったし、こいつのことを好きだと考えたこともなかったけど…
そう私に問いかけたこいつは結構本気で、真面目だった。


ちゃんと返事をしないと駄目だ、そんな考えが私を余計せかした。


「べ、別に…嫌いっ!」
「……やっぱり…」


少し悲しそうな顔を見せたこいつがなんだかどうしようもなく愛おしくて…


「……の反対。」


好きの反対、の反対
好きで悪い?



お題:確かに恋だった


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