「名前」
「なぁに?総ちゃん。」
「大人になったら、お…俺と結婚してくだせェ!」
「…いいよ!結婚しようね。」

チュッ


「ん……」


すごい昔の夢を見た気がする……。
たしか、俺と名前がまだ幼稚園のころの…。


そんな約束、あいつはもう覚えてないだろうけど。
俺は今でも覚えてまさァ。


「名前、おはようございまさァ」
「おはよ、総ちゃん」


俺と名前は幼馴染で、小さい頃からずっと一緒に育ってきた。
多分、土方よりも一緒にいる存在。


小さい頃いつだって隣には名前がいた。
そんな記憶しか俺にはねェ。
でも、名前は多分小さい頃のことなんて覚えてねェんだろーな…。


「どうしたの?元気なさそうだけど……」
「別に大丈夫でさァ」
「そっか、それならよかった。」
「名前…」
「なに?」
「…いや、なんでもありやせん。」


今、名前が覚えていたとしてもそんな約束を本当に守ろうとする奴がいるか。
…いるか。ここに一人。


俺は小さい頃から名前が好きで大好きで、でも名前が俺のことを好きかは分からない。
小さい子どもってのァ、簡単に好きって言っちまうもんだから。


「総ちゃん、あのさ……何年か前のこれくらいのときのこと覚えてる?」
「え?……あ、ああ…覚えてまさァ」
「じゃあ、あの約束ももちろん覚えてるよね?」


ニコニコと笑顔で言う名前はあまりにも可愛らしくて……
惚れ直した。


「名前」
「なぁに?総ちゃん」
「高校卒業したら俺と…俺と結婚してくだせェ」
「…もちろん!」


俺は昔言った言葉を少し変えて言ったあと、昔のように茉莉にキスをした。


約束のキスをもう一度

願うのはひとつだけ
きみと一緒に大人になりたい


お題:確かに恋だった


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