「あー!恋がしたい!」
「アンタに恋なんて出来るわけないでしょ」


友達もそういう。たしかに、私がそれは一番自覚してるのかもしれないけど。

今まで、恋という恋をしたことがない。
恋=青春と考える私にとっちゃ青春したことがないみたいなもんだ。

告白されたこともないし、告白したこともない。
だから一度でいいから告白されてみたい。
お願いだから今すぐにでも誰か告白してくれないか……!


「名前、授業始まるよ」
「あ、うん。」


一応、授業は真面目に受けるつもり。
こんなに頭の悪い私でもやれば出来る子なんだから、きっと。

教師の声が教室に響き渡る時にチラッと屋上に見えたのは人影。
多分、そうだと思う。
今は授業中なのに屋上でサボってる人がいるならそこに興味が湧くのは私だけじゃないと思うけど。


「すいません、トイレ行ってきます」


トイレに行ってくるなんてもちろん嘘。
私が行くのは屋上だもん。

階段を駆け上がって屋上へ入るドアを開けばそこには人影が……って


「いない…」


と思ったけどいないなんてあり得ない。
私はここに来てる人も大体予想がついてたし、どこにいるかも分かってる。
常連さんは常連さんなんだからいつだって同じ場所にいるはずなんだ。

屋上のさびたハシゴをのぼって階段の上へ上るとそこには昼寝をしてるイケメンがいた。


「やっぱお前かァ…」
「気づいてたんですか!?」


くつくつと喉で笑い、私に近づいてくる紫色の髪の毛の先輩は私が苦手とする人物の一人。
でも、先輩はそんな私を面白がって会うたびにちょっかい出してくる。

…苦手だけど、それがちょっと楽しかったりうれしかったりするんだ。


「何してんですか、先輩。授業中ですけど」
「そういうお前は何してんだ?授業中なのによぉ」
「うっ……」


言葉に詰まる。
ここに来た理由が分からないから。
でも、なんなく分かるかも……。


「馬鹿はとっとと戻りな」
「馬鹿じゃないです!馬鹿って言わないで下さい!そうやっていっつもいじめてばっかり……」
「楽しいからいじめてんだろ。バーカ。」
「誰が馬鹿よ…馬鹿…」



私だって恋くらいする
恋くらい…もうしてるもん。


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