日に日に総悟くんへの気持ちが変わっていることくらい、自分で気づいていた。人にも沢山言われた。「よく笑うようになったね」「素直になった」と。私はいつの間にか、感情が表に出やすくなっていたらしい。前まで感情なんて要らない、そう思っていたのに。感情を表に出さないようにしていたのに。
総悟くんが私を変えてくれたんだ――


「あーあ…あと三日か…」
「もう…そんなに短いの……?」
「ああ、でも俺ァ延ばしてもいいですぜ。てゆーか、なんで一週間なんですかィ?」
「一週間経てば分かるよ…」


総悟くん、ごめんなさい。期間を延ばすことは出来ないよ。私も総悟くんとずっと一緒にいたかったよ。だけど、私にはタイムリミットがあるから…ごめんなさい。沢山謝るよ、ごめんなさい。


「奏?どうしたんでさァ、そんな暗い顔して」
「えっ!?私っ、そんなに暗い顔してた!?」
「奏は暗い顔してると不細工でさァ」
「ひ、酷ぉっ!!」


不細工でもいいよ。こうやって総悟くんと笑っていられることが奇跡なんだから。とても嬉しいよ、私が。
総悟くんが私の頭に手を乗せてぽんぽんと叩いた。総悟くんは私の大好きな笑顔でいてくれた。それだけで、私の胸は一杯になった。


「さ、今日も行きやすぜ!今日はどこに……奏?」
「どうしたの、総悟くん」
「なんで…泣いてんでさァ…」


つぅぅーと頬を伝う水滴を私は拭った。拭っても拭ってもとまらない涙。いつの間にか「ふわぁぁ…」と声を出して泣いていた。そんな私を総悟くんは力いっぱい抱きしめてくれた。


「何泣いてんでィ。不細工なツラは見たくありやせんぜ」
「私だって…好きで、泣いてるんじゃな…」


嗚咽交じりの言葉だけど、総悟くんは私のことをぎゅうっと抱きしめてくれた。私も総悟くんの背中に手を回した。私も力いっぱい総悟くんを抱きしめた。総悟くんは私の力に負けじと力を込めた。


「そ…うごくっ…くるし…っ」
「あ、ごめん」
「だいじょぶ。いつの間にか、涙とまったよ。総悟くんのおかげかな?」
「また……」
「ん?」
「また奏が泣いたら俺が涙とめてやりまさァ」


総悟くんがニィっと笑うと私も自然と笑みがこぼれた。
なんでだろう。総悟くんが笑うと私も笑ってしまう。総悟くんはきっと私を笑顔にする魔法でも持ってるんだろうね。それだけじゃなくて総悟くんは私に沢山の魔法をかけてるよね。出来たら…きっと出来ないだろうけど……私のタイムリミットをなくす魔法をかけてほしいな。そうしたら、きっと私。また泣いちゃうだろうけど。そしたら総悟くんが涙、止めてくれるから。


「ありがとう。ねえ、総悟くん…」
「ん?」
「私と付き合ってくれてありがとう。もうありがとうって言い切れないよ…何回でもありがとうって言ってやるんだから!」
「じゃあ俺ァ、何回でも奏に好きだって言ってやりまさァ」
「え…」
「いつの間にか奏のこと好きになってたんでさァ。俺のハート持ってきやがって。おんなどもが怖いぜェ?」
「う、嘘ォ!?嫌だよ、そんなんッ!」
「嘘でさァ。ったく、からかいがいのあるやつ」
「かかか…!?からかわないでよ!」


総悟くん、言い切れないほどのありがとうと…


終わりの日まで愛して
言い切れないほどのごめんなさい。






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