総悟くんへ




こんな手紙のこしてごめんなさい。
総悟くんがこういうの残したら怒るってこと、分かってるけど。でも多分、私がこれを伝えたいころには総悟くんの隣に私はもういないってことだろうから。
っていうか、これを読んでるってことはもう私はこの世界からいなくなっちゃったのかも。
それでも私は総悟くんの隣に入れてとても幸せだったよ。




私と総悟くんの出会いはたしかぶつかったんだっけ。学校で。
なんか、今考えると運命的だなぁ。笑っちゃうよまったく。ははっ
それで、Z組まで連れて行ってもらう途中、私が総悟くんに告白したんだよね。あの時は時と場所を選ばないでごめんなさい。でも、あそこで告白してなかったらどうなってたかな?だから、私は悪いとも思ってないし後悔もしてないよ。…非常識かな?とは思うけどね。
はじめはただの契約で、総悟くんもきっと私のこと好きじゃなかったと思う。正直、私もただ優越感味わいたかっただけだから、あんまり好きじゃなかった。ごめん。
でも、楽しかったよ。総悟くんと過ごした日々は今迄で一番楽しかった。
総悟くんは簡単に私の心を奪っていったんだよ。


それと…今じゃ総悟くんのこと大好きだから。人を好きになるのはこういうことなんだって教えてくれてありがとう。
大好きだよ。ううん、愛してるよ、総悟くん。




私はずっと病院生活で、学校に行くことが全然出来なかったの。みんなみたいに普通に学校行って普通に友達と遊んで普通に恋がしたかった。
青春ってやつ、やってみたかったなぁ…
でも、私の青春は総悟くんとこうやって過ごしたことだから。一般でいう青春とはちょっと違うかもしれないけど。私はそれでいいの。
私の病気のことを知ってる人はあんまりいなかったからサボり魔って言われてたけどね。
はじめは神様を恨んだ。なんで私が病気にかからなきゃいけないの?って。でも今じゃ神様にありがとうって言えるよ。だって総悟くんと出会わせてくれたんだもんね。
私の病気のせいで、私の我がままで総悟くんに辛い思いさせちゃったこと、すごく悪いと思ってる。
ごめんなさい。本当にごめんなさい。




この手紙と一緒に置いてあると思うんだけど…カメラ。そのカメラに二人で撮った写真とか沢山入ってるから。総悟くんが一人で写ってる写真の方が多いかもしれないや。




思い出に浸るのはここまでにしておくよ。ここからは私の最後の我がまま。
きっと私の最期は総悟くんに看取ってもらったんだろうね。私、最期までちゃんと笑えてた?最期に総悟くんと一緒にいれて幸せだったよ、私。
私、総悟くんの笑顔が大好きなんだ。世界で一番好き。大好き。
総悟くんは私のことなんか忘れて、ちゃんと幸せになってね。私の分まで幸せになってよ!約束だからね!!幸せにならなかったら私、総悟くんの後ろにずっと憑いてるから!
だから、幸せになってずっと笑ってて。
私はその笑顔を空からずっと見てるから。総悟くんが泣いてたら私は総悟くんの近くまでいって、聞こえない声で精一杯笑わせるから。
ずっと笑っててよ。
これが、私の最後の我がままです。




ごめんなさい、なんて言葉は聞きたくないだろうからありがとう。言い切れないくらいありがとう。


もっとキスしたかった。結婚して、子供は男と女一人ずつで、おじいちゃんとおばあちゃんになっても二人で笑いあってるの。そんな未来にしたかったなあ…。


ご、ごめん!こんなこと書いたら総悟くん、私のこと忘れられなくなっちゃうじゃん!!
でも、愛してるから。嘘じゃないよ。本当だからね。
愛してる。
総悟くんは違う人を愛して、子供を産んで、おじいちゃんになっても笑っててね。


きっと私は何度生まれ変わっても総悟くんに恋をする。
だから またどこかで会えたらそのときは、声…かけてね。


愛してる





最後の方は涙で滲んで見えなかった。俺の涙も、奏の涙も。
意味わかんねェ。


奏を忘れて幸せになれ、だなんて馬鹿げてる。
俺がお前を忘れられるワケねェだろ…!
俺だってお前と結婚して、子供産んで、じいちゃんばあちゃんになっても笑ってたかった!
死んでもいいだなんて言ってねェ!!


「愛してる…世界一愛してる…奏……」


俺の背後霊でもいいから。傍にいて欲しい。
俺の頬に涙が伝った。


「泣かないで…笑って……」


「私だって世界一愛してるよ…」


「泣いてたら私、成仏できないよ」


「見守ってるよ、総悟くん」


「愛してる、ずーーーっと愛してるから」


「笑って…笑ってね?」




ふわりと頬に風が触れた、それはきっと奏が運んできた暖かい風。
俺を笑顔にするために。


「バーカ、お前が戻ってこねェ限り泣き止まねェよ」


笑って、


さよならの時間だね
愛してくれて、ありがとう





ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
こういうカンジの話ずっとやりたかったんですよね、でもなんか死ねたってどーなんだろってずっと思ってたんですけど…やっちゃいましたスイマセン
死ねたが嫌いな人にとっては最悪な話だったかもしれません。これを見て少しでも感動したと言ってくれる人がいれば幸いです。
もうなんか沖田くん可哀想でした。正直楽しかったけど、沖田くんの心情書くのはめちゃくちゃ辛かったです。
十万打記念の小説なのに暗くて申し訳ないです。


それではここまでお付き合いいただきありがとうございました。
(2011/藍田雛)







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