一週間。七日日間というあっという間な日々。その間に私は色んなことを体験させてもらった。色んなはじめてを総悟くんにもらった。
消毒の匂い、ピ…ピ…ピ…という機械音。私の大嫌いな白尽くめの部屋。


「奏…奏……!!」


大嫌いな部屋で大好きな人の声が聞こえる。


「そ…ご…くん…」


総悟くんは私の顔を見てずっと私の名前を呼んでくれていた。その瞳には涙でずぶ濡れになっていた。私はそんな総悟くんの頬に手を伸ばす。


「ぶ…さいく…だ…よ、そ…れじゃ…」


総悟くんだって人のこと言えないじゃない。私の泣き顔見て、不細工って言ってたけど総悟くんだって充分不細工だよ。いつものポーカーフェイスはどうしたのさ。


「誰が不細工でィ。奏ほどじゃねェや」


グズッと鼻水をすする音が聞こえた。ああ、私のせいか。私が総悟くんを泣かせてるのか。やだよ、泣かないでよ。総悟くんの泣き顔なんて最後に見たくないよ。


「ば…わ…し……て………工じゃな…よ」


言葉をつむぎたくでもつむげない。自分でも何言ってるか分からなくなる。でも…私は総悟くんのあの顔を見るまで死ねないよ。


「俺、奏が好きでさァ。大好きで、大好きで。仕方ねェや。奏が消えたら俺ァ泣き続けるぜィ?」


そんな、涙をたっぷり溜めた目で言われても説得力ないよ。水溜りみたいに光った目で言われても。もう泣いてるじゃん。最後のお願いくらい聞いてよ。泣かないでよ…。


「奏…ごめん。何もしてやれなくてごめん……」


何もしてやれなくてなんて…そんな事ないよ。笑顔を忘れていた私をもう一度笑顔にしてくれたのは誰?総悟くんでしょ。初めて私を赤面させたのは誰?総悟くんでしょ。初めて私と手を繋いだのは誰?総悟くんでしょ。初めて私とキスしたのは誰?総悟くんでしょ。
初めて私が……人をこんな風に好きにならせたのは総悟くんなんだよ…?


「愛してまさァ、奏。どこいったって、どんなに離れてたって、奏のことを愛し続けるって約束しまさァ」


泣かないで…総悟くん、泣かないで……。私だって総悟くんのこと大好き。ううん、愛してる。だから総悟くん……


「わら…って?」


総悟くんが笑った。私もつられて笑った。そして一滴の涙が目から零れ落ちた。
ピーーーという機械音。私は息を引き取った。


それでも幸せだったよ
一週間でもとても幸せでした。






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