あれから、どれくらい経っただろう。 変わったことが沢山あった。
たとえば、沖田のことを総悟と呼ぶようになった。 恋人なんだし、と思って呼んでみたら沖…総悟はすっごい喜んでくれた。 名前で呼んでくれたときの喜びくらいあたしだって体験済み。 口には出さなかったけど、すごく嬉しかった。
それと、土方とは一言も口を聞いてない。 あたしも土方とは話さないようにしてるし、向こうもあたしと話さないようにしている。 …というか避けてる。 多分、あたしも土方も。 総悟と土方が話してるところを目撃するのはあまり見なくなった。
「あーあ…もう夏か」
「ねー。あっつい!今年の夏は前より倍くらい暑い…」
総悟との帰り道、制服の裾をパタパタさせながら歩いていた。 もう夏。あたしが思ってるよりも早く夏が来た。 夏なんて梅雨が過ぎてちょっとしたら来るもんだと思ってたら、今年の梅雨はそこまで酷くなかったし、雨もあまり降らなかった。 その代わりがこの夏の暑さだろう。
今年の夏は例年より暑い。 テレビでは最高記録が発表されたりしてるほどだから。
いろ〜んな意味で暑かったりするけど…。
「あ、今年の花火大会。誰かと行く約束してやす?」
「ううん。誰とも。あ、行く?」
「行きやすか。俺も約束ないし。チャイナとかと約束してたらいいですぜ」
「いや、本当誰ともないんだって約束。たった今、総悟に誘われるまでね」
「そうかィ。じゃあ花火大会の日の七時半くらいに。」
「了解。」
そう言って別れるあたしと総悟。
あたしの頭には土方がよぎった。 アイツも来るんだろうか…もしいたらどうしよう……。 なんて、考えてしまう自分が憎たらしい。
いくら話さなくなったからってあたしの心から土方が消えた訳ではないんだ…。 アイツのこと嫌いになれたらいいのに…。
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