大食らいで乱暴でがさつで本当に女かよって思うことも沢山あるけど、笑顔はそりゃあ可愛くてバカみたいに泣く姿は可愛らしい女の子。でもって、運動神経は抜群。女の子に目がない。そのくせ、男はあまり好きじゃない。で、鈍い。それが俺の彼女――歌夜。


「歌夜〜、今日どっか遊びに行こうぜ」
「あー、行きたいのは山々なんだけど、沖田と遊ぶ約束しちゃったから。ごめん」
「そうでさァ、だから近寄んなバカ杉」
「ああ?てめぇにバカって言われる覚えはねぇよ」
「もう黙れよ、チビども」
「「んだと、このやろォォオ!」」


「えー!?彼女にそれはないでしょぅ!?」と笑いながら俺たちの攻撃をかわす歌夜は流石。可愛いくせして、鈍いから。モテるのに、自分はモテてないと思ってるから、こいつ。高杉が歌夜のこと好きなのなんてバレバレなのに、気づいちゃいねェ。銀八のことも。てゆーか、3Zの男子はたいていこいつが好き。モッテモテじゃねェか、くそ。妬けまさァ。


「じゃあ、俺も行っていい?歌夜と遊びたいし」
「は?アンタは仕事してろよ。仕事もろくにやらない人は遊べません!」
「えー、俺だって歌夜と遊びたーーいーー」
「殺されたいんですかィ、銀八」
「やっちゃえやっちゃえ!」


あー、畜生。可愛い。銀八が憎たらしくてたまんねェ。歌夜の足に引っ付いて離れねェ。歌夜は思いっきり銀八のあごを蹴り上げ、銀八は歌夜の蹴りをまともに食らって血を吐いていた。あーあ、これじゃあ近藤さんと何も変わんねェや。変わることといったら俺と高杉が銀八に制裁を与えること。近藤さんは、これがないからまだマシだ。


「沖田、今日高杉も一緒にどう?」
「嫌でさァ。なんでこんな奴に俺と歌夜の時間を邪魔されなきゃいけないんでィ」
「はっ、俺と歌夜の時間だってよォ。歌夜はどォ思ってんだァ?」
「遊ぶ時間」
「えっ、」
「だってよ、沖田」


リアルにショック。真面目にショックだ、これ。今なら俺死ねる。血ィ吐いて死ねる。俺の顔を見て高杉がククッと笑ってる。クソ、うぜぇ。殺してェ。土方と一緒に。高杉は調子に乗って歌夜の肩に手を乗せる。だが、歌夜はその手をパシィ!っと振り払った。


「触んないでよ。これでも、私は沖田の彼女です!」
「ほぉ……」
「歌夜……」


嬉しい。さっきは死ぬと思ったけど、今は嬉しすぎて死ねる。なんで、俺はこいつに惚れたんだか。小さいころから一緒で、なんかいつの間にか好きになってたってのが本当の話なんだけど。告白は超ダメダメだった気がする。そんときは歌夜も俺のことが好きだったみたいだからよかったけど。「へたれ!沖田へたれだ!」って笑われたような気が……。畜生、ムカつく。ムカつくけど可愛い。


「へぇー、じゃあ総一郎君の彼女で俺の嫁ってのはど…ぶべらっ!!」
「総悟だっつってんだろ」


俺の華麗なかかと落としが決まった。銀八…てめぇ……、


頭改造してやろうか


お、歌夜。俺の華麗なかかと落とし見てやしたか……って…


「今日どこ行こっか」
「ゲーセン?」
「あ!いいねいいね!駅前のゲーセンに新しいクレーンゲームできたじゃん?あれ取れなくてさぁー」
「沖田に取ってもらえばいいじゃねェか」
「沖田もとれなかったんだよ!だから、とってよ」
「ちょっと待てェェェイ!」


仮にも俺は歌夜の彼氏でさァ!



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