今日は体育祭だった。年に一度の行事。私は沢山の行事の中で体育祭が一番スキだ。クラスの中が一気に深まるし、そこで生まれる新たな恋なんかも見ものだから。
前まで同じクラスだった友達も、体育祭が発端で好きな人ができたらしい。叶うかどうかは分からないと言っていたけど。
そんな、私も、前から気になってる人がいて、今年は同じクラスになって、体育祭も一緒に頑張った。そこから、気になる存在じゃなくて、好きな存在に変わってしまった。

体育祭が終わって、打ち上げの話や感想が持ち上がってる中、競技の最中に使っていた鉢巻にみんなから寄せ書きをしてもらっていた。毎年の行事で、みんなから書いてもらえる。ここで仲を深める人も少なくはないみたい。
だけど素直に「書いて」というのにも、勇気はいる。私なんか全然声がかけられなくて、違う人から書いてもらってばかりだ。


「名前!私が最初に書いてやるネ!」

「あ、ありがとう神楽ちゃん…」

「私も書くわ。あの人には最後の最後に隅っこに書いてもらいなさい」

「うん…勇気がないから流れでそうするよ」


神楽ちゃんが最初に書いた“I love you”からはじまって、みんなが“I love you”と書いてくれた。空気読んでくれたんだ…。
お妙ちゃんの言ったあの人は沖田くんのことで、好きな人だから端っこに、ってことみたいだ。みんなと同じこと書いてくれると嬉しいけどな…。


「沖田くん、これ、書いて?」

「あぁ、別にいいですぜ」

「ちゃんと、空気読んでねっ!」

「空気?え……」


鉢巻の文章を読んで唖然とした沖田くんがいた。
やっぱり書いてくれないのかな……


「いいぜィ。っしっかし、土方コノヤローも書いてるとはな」

「ありがとう!」


嬉しかった。
それから丁寧に同じ言葉を書いてくれた。ご丁寧にハートまで書いてくれて「アレ、ハートってどうやって書くんだっけ」とか言ってたけど。
その言葉に気持ちがこもっているのかこもっていないのかだと大きな違い。沖田くんは気持ち込めて書いてくれてるのかな、本当にそうだと死ぬほど嬉しいけどな…。気持ちの問題もあるけど、やっぱりそれは、沖田くんが書いてくれたっていうだけで、私にとっては、大きな違いだった。


特別な意味の“I love you”



(20110713/藍田雛)
一応実体験を元に笑←


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