春は出会いと別れの季節。出会いなんて滅多にないけど、別れはしょっちゅうある。永遠の別れって奴が。
「なんちゅー重たいはじまり!?」
「え、ダメだったかな」
「こんなんじゃまるでシリアスじゃねーか」
「そんなつもりはなかったんだけど…でも仕事とか私としてはよくあることだから」
私は一応真選組に属してはいるんだけど、全くの無出勤。出勤できるならしたいよ!真選組にいたいよ!楽しい人たちが沢山いるし、なにより、総悟とずっといられる。
いつのまにか私はこんな身体になってしまったんだろう。それでも、総悟が私のことを好きでいてくれるから私は満足してるんだけれども。
「ねえねえ、話聞かせてよ。今日はどんなことあったの?総悟の活躍ぶりが聞きたい!」
「人殺しの話なんか聞いて何が楽しいんでさァ」
「楽しいよ!総悟のかっこいい話が聞けるんだもん!」
瞳をキラキラさせて聞いてみると、ハァとため息を吐かれた。それを見てムッとすると、総悟はごめんごめんと言っていつものように真選組の話をしてくれた。近藤さんがストーカーしてるとか土方さんのマヨネーズ話とか山崎くんがミントンしてたとか…楽しそうなことばっかり。
正直、羨ましい。私の身体が自由に動いたら私だって総悟たちと遊んでた。総悟と一緒に戦ってた。ミツバさんが亡くなった時だって総悟の傍にいてあげられたのに。総悟が一人で泣いてるときも涙を拭ってあげることもできたのに。その分だけ神様を恨んでる。
「私、一つ願いが叶うなら自分の身体を健康体にしたいな」
「俺もそうしたい」
「でも夢とはちょっと違うんだよね…うーん、なんていうんだろう願望?」
「名前は夢とかねェんですかィ?」
「あるよ沢山」
「俺が叶えてやらァ」
「絶対だからね!」
その夢、必ず
「私の夢はね総悟と結婚すること!」って言ったら、総悟は一瞬だけ目を丸くしてその後「そんなん叶うに決まってまさァ」と言って優しい笑顔を向けてくれた。
(20110702/藍田雛)