短編たち | ナノ
猿の慰め



「おい」

「あ?んだよ」

「なんか言うことねえのかこの猿」

ゆらゆら不安定に抱きかかえられ、たどり着いた先は保健室ではなく生徒会室。
支倉はなぜかとても機嫌が悪そうだが俺の方が機嫌がわるい。

「俺わるくねえもん」
「もんじゃない!きもちわるい!」

丁寧にソファにおろされ、やれやれと首を振った。思い出すとゲロ吐きそう。

「支倉、みず」
「…平気か?」
「心配してんならみず持ってきてよ」

口の中オレンジの味する。
あのマリモ、オレンジジュース飲んでたみたいだ。


「水だ、」

「ん、ありがと」

ああ生き返る。
ほんとさっきまで死んでたからな。
いや、もう忘れようあれは悪夢だ。

「波田、腰抜けてたろさっき」
「どうやら猿は俺に喧嘩が売りたいんだね」
「猿ってやめろよ」

だって猿だろ。
そう目で伝えるとはぁとため息を疲れ、支倉は俺の隣に腰を下ろした。


「お前があいつに会いたくなったのってあれが理由なわけ?」

「あーそうだよ、出会い頭に痴漢されたの。くっそ、いつかちんこもぐ」


なんなんだよほんと。
なんで今更、俺が自分のケツ心配しなきゃなんねぇんだよ。

つうかマリモの方が身長低いんだからおとなしく掘られろよ。抱いてくださいだったら少しは取り合ったっつーの。


「…ケツがあぶねぇな…」

「…そういう言い方ギャップにもほどがあるからやめろ」

「あ?王子様はケツって言っちゃいけないのか?
はいはいいいですね、俺様(笑)はウンコとも言っていいしケツ穴とも言っていいわけだ。」

「お前…いろいろだだ漏れすぎだろ」

「むしゃむしゃしてんだよ分かれこの猿が」

「はいはい」


ぽんぽんとあやすように頭を撫でられてまたイラっとする。くそこいつなめてやがる。
睨み付けると呆れたように苦笑された。
しね!


「…悪かったよ、会わせたりなんかして」

「…うん。」

しょうがないな、慰められてやろう。
というか、うん。

怖かった。あんなの口腔をレイプされたようなもんだ。受ける側の気持ちがわかったし強姦とかほんと許せない。

おとなしく支倉の掌に懐いて、目を瞑るとなんか支倉がゴクンと喉を鳴らした。うるさい。


「…やっぱちんこぶっ潰してこよっかな」

「…やめとけ」




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