短編たち | ナノ
イベント発生の兆し
「波田がそんなに嫌うなんて面白えな」
俺は頭をかかえた。
ほんとに支倉の馬鹿を埋めたい。
だいたいこいつは人が好きになったものも嫌いになったものも面白いとか言う糞馬鹿野郎だ。
こないだサボテンが好きだと言ったらわざわざ取り寄せて「面白え」とツンツンつついて名前までつけていた。「ポチ」と。
「そうだ、きなこ、ポチに水あげて」
「もう波ちゃん!きなこじゃない!水ならさっきあげた!」
きなこはかわいいなぁ。
すこし現実逃避した脳内を現実に戻して。、
面白いとかなんとか言ってた馬鹿に目をやるとすこし拗ねたように俺を睨んでいた。
「…なに」
「いま俺のことスルーしたろ」
「ハエがブンブン言ってる音なら聞こえたけど」
「会いにいこーぜっていってんだよ!」
「埋められたい?」
うぐぐ、と詰まる支倉を鼻で笑う
結局俺が世話してるポチのプランターに栄養剤でもさしておこう。
「セックスしてたらこんな時間になっ…っうぎゃっ」
ばぁん、とひどく大きな音を立てて入ってきた輩に条件反射で手にしていた栄養剤を投げてしまった。一生の不覚。もったいない。
「波ちゃんこの液体なに!?なんかベタベタしてる!」
「篠塚今日は何回だ」
「会長おはよ!抜かずの三発!うわ、波ちゃんジョウロ投げないで!!」
投げたせいでちょっと曲がった柄をみてなぜかきなことあんこが悲しそうな顔をした。
新しいの買ってこよう。
「で、なんだっけ支倉」
「だから、昼休みみんなで会いにいこーぜ。食堂にいんだろ、どうせ」
「却下」
またあの生暖かくて硬いもの押し付けられたらどうしてくれる。
だいたいあいつは完全に俺の尻を狙ってる目をしてた。むりむり、怖いからむり。
「業務命令だ」
「えっ波ちゃんなんでそんな嫌がってんのお」
「波ちゃん」
「やっぱり」
「「痴漢されちゃったの〜?」」
きなことあんこが高速で周りを回り始め、あげく篠塚が気持ち悪い笑顔を向けてくるし、支倉はなんか決意しちゃってるし
「…篠塚と支倉は死ねばいいよ」
うぷ、きもちわるい。
がっときなことあんこの頭を抑えてぎゅっと引き寄せる。うんうんかわいい。かわいい。
「じゃあ決まりだな」
ほんと支倉の脳みそぐちゃぐちゃにしてやろうか。
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