短編たち | ナノ
3
「……んっ、」
やべえ、なんか苦しい、しにそうなんだけど。溺れてるみたいな、息がしづらい
ほんとに死にそう
「っ、、 苦し……っ」
待ってくれ、まだ死にたくねえんだけど!
必死にもがくようにじたばたするが、なにかがどっしりと俺の体を押さえつける。
やべー、ほんとに死ぬじゃんこれ
走馬灯見たいのがざあーっと流れた時にやっと目が開いた。
「!?!?!?」
マリモ!?!?マリモだよな!?!!
俺のかおにもくすぐったくかかるもっさりした黒髪はどう考えてもマリモ
待て、ここはどこだ!?
そんなことはおいといて、問題は、
「ッ、んっ、む、」
なんでマリモがいて、なんでマリモが俺に濃厚な濃厚なキッスをかましてるかってことだ。
「ぷはー、お!!ナミ起きたのか!!おはよう!!」
「っはぁ、は、……てめぇマリモ!!!ふざけんななにしてんだよ!!!!」
敬語とかキャラとかもうしらねぇ!!!
世界で一番嫌いなものにのしかかられて、あげくベロベロと口内かき混ぜられて気なんて遣ってられるか!!!
「??マリモ??俺は修太だぞ!!
でもまぁナミにならなんて呼ばれても俺…」
「はぁはぁすんな!!つーか降りろ!!しね!!!!!」
「ぅあ、ッ、ナミ動くなよ…、擦れてイきそうになっちゃっただろ!」
「顔を赤らめんな!!つーかてめぇの汚ねえイチモツ押し付けてんじゃねえよ!!!!」
やっぱ腹のあたりに当たってんのってアレだよな、
再認識した途端ブワァァっと鳥肌が立った。やっべえキモすぎて死にそう。
「俺、俺ナミのこと好きなんだ!!いつもより乱暴な喋り方は照れてるんだろ??
大丈夫、痛くしないからな!!」
「妄想してんなしね!!!!ほんとキメェ!!!!」
口だけは達者とは今の俺のことを言うんだろう。意外にも重くのしかかるマリモの下から逃げられない。手とかは完全に封じられてるし足をバタバタさせようともマリモは頑として動かない。うわぁ、詰んだ。
それは多分まぁ疲れとか色々の所為なんだろうけど
つーかここ俺の部屋じゃねぇか
なんでマリモここにいんの?つーかなんで俺は自室の廊下で襲われてんの?は??
「ナミ、ナミ、」
「ん、ッ」
欲情に濡れた目で俺を見つめるとマリモは俺の首筋に顔を埋めた。ちゅ、ちゅ、と可愛らしい音とは反対にもさもさした髪が俺の顔に当たってほんと気持ち悪い。
さらにぺろぺろと耳を舐められぞくぞくする。
気持ち悪いのに変な気分だ、死にてぇ。
やばい。やーばい。最近ソッチ方面ご無沙汰だったのが良くなかったみてぇだ。
なんか肌寒いと思い、ぎゅっと閉じていた目を開けるといつの間にかシャツのボタンが外され上半身の一部が外気に晒されていた。
「ナミ、やっぱすげー綺麗だな…」
「てめぇマジでいま止めねぇと警察呼ぶぞ?そのまえにぶっ殺すぞふざけんなよ」
「恥ずかしがるなよナミ!」
「っ、変なとこ、触んなッ!!しね!!」
マリモの指が首筋からつぅっとすべって乳首に触れる。この時点でわりと殺したい。
殺したい。
「ッ…く」
くにくにと触るのほんとやめろ、そんなとこ触られたことねえよ意味わかんねえ。
きもすぎて、嫌すぎて吐き気がする
全然気持ちがいいとか無いんだけど、ひたすら気持ちが悪い。
「まだ気持ちくないかもだけど安心しろナミ、俺が開発するからな!」
「ふざけたことぬかしてんじゃねえぞ!」
このままだとほんとにやばい。俺の尻があぶない。掘られる
掘られる!!!ぜってぇやだ!!!
いくら罵倒しても全く効力が無いどころか恥ずかしがるなよとか都合良く考えるこのクソポジティブマリモ、どうしたらいいんだろうか
ここはいっちょやる気をだして油断させる、とか?いやいや、スイッチが入りかね無い。
とりあえず尻が掘られることを回避できればそれでいいんだが
あー、くっそ、
「…、鼎、くん、」
「だから修太で良いって言って…、ナミ…?」
あーほんと屈辱的だ。
効果があるか知らんが、開きっぱなしのせいで潤んだ目をそっと伏せ、そしてゆっくりマリモの目を見つめる。
「こっからは、ベッドに行ってからが、良いのですが、」
駄目ですか、とでも言いたげに首を傾げればマリモの喉がごくんと音を鳴らした。
わー、すげえ男の上目遣いではぁはぁ言えちゃうマリモすげえほんとすげえ
「そ、そうだな!わかった!」
ちょろいなこいつ。大丈夫か?
素直に体をどけたマリモ。
よっしゃあ今の内だ!と俺は勢い良く立ち上がってドアの方にダッシュした。
……つもりだった。
「ナミ、嘘は良くないぞ!!」
ダッシュしようとしたのに瞬時に気づいたマリモが俺の足を引っ張り、ビッタン!という音と共に俺の体はまた廊下の床を這うことになった。
「……うぇ…お前まじしんで……」
俊敏な野郎だなこいつ……
← →
戻る
。