暗転世界の行方


《 ヤツを見つけた!
中央交差点だ! 》


端末に送られてきたメールを見て、黎音は直ぐさまその場に向かい、交差点を眺められる場所にいた。片手には収納袋に入った長刀と、もう片方には…


「もぐもぐもぐ」


濃厚な甘みと香りのチョコレートがかかったポンデリングが。
そんな彼女の肩に、一羽の白いフクロウが止まった。


「ほー」

「ん、了解」


最後の一口を咀嚼して、指先をぺろりとひと舐めしてから立ち上がった。



「ひがともり

けがいのおうの

かげひとつ」



彼女の目線の先には、端末に写っていた少年がいた。






◇◇◇◇◆







僕は、ククリに生徒会のお使いで文化祭用の花火を買いに来ただけなのに


八「待てコラァアアアッ!!」


何で見知らぬ人に追いかけ回されないといけないんだ!!僕は何もしていない!善良な一般市民だ!そう言いたいけど、彼らは全然話を聞いてくれるような雰囲気じゃないしどうしよう!!
怖い恐いこわいコワイ!!






◇◇◇◇◆







だんだん近づいてくる気配に、思わず口元を緩める。


シ「わわわっ!
どいてどいてー!!」


ソイツは来た。吹かしていた煙草を指先で弾く。弾けた赤は無数の弾丸になり、少年に向かって放つ。ソイツを追いかけてきた八田と俺も、「捕まえた」と思った。


シュタッ


いきなり現れた藍色の長髪の少女が、俺と例の少年の間に入り込んで、一瞬にして弾丸を斬り落とした。あの剣撃の速さからして、相当の居合の上級者だ。
藍色の長髪に、居合の上級者。その条件を満たす人物は、自分の知る限り一人しかいない。まさか…


「これ、もらうから」


少年を引っ付かみ、背後から迫っていた八田を鞘で殴り飛ばして、上へ飛んで消えてしまった。


八「なんだあの女!!?」

草「あーまさか、
“ 死神 ” …夜刀神黎音が目ぇつけとるとはな。面倒な事になったなぁ」


想定外だった。
けど、俺らはまだ諦めてへんで。


草「次の手いこか」









◇◇◇◇◆







赤のクランズマンを撒いた黎音は、特殊なワイヤーを駆使して駅前のビルの屋上に着地した。シロこと伊佐那社は、ポイっと投げ捨てられ尻餅をついた。


シ「いたた」


シロはお尻を摩りながら、きょろきょろと辺りを見回す。


シ「あ、ここ駅前?ありがとう、助かりました。それじゃ!」


その場を離れようとするシロに、黎音は無表情で刀の刃の部分を首筋に突きつけた。


「私は、先の第七王権者・三輪一言が臣
夜刀神黎音」

シ「おーけんしゃみわいちげんがしん…?
あ、名前ですか。どうも。僕、伊佐那です。伊佐那やし…」


ヒュンッ!
目視できない速さで遮った刀先は襟章を捉え、遠くでカラカラと落ちた。


「亡き主君の遺命のもと、
悪しき王を討つ」

シ「ぇ、“ おう ”?なに?」


その時、建物に映し出されていたCM映像が乱れ始めた。









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