17


魂「その前に…そいつを下ろしてやれ!見てて可哀想だ」
心「そうかな…?」
と言いつつ降ろしてあげる。

魂「じゃあ、風呂入ってくるぞ」
部屋を出て階段を下りて行く。

心「あ、ソウルって俺に懐いてくれてんのかな?」
すぐによって来る猫。かなり紛らわしい。

響「(猫が不憫…)」
心「……」
パタンと横になる。

響「…?」
心「なんか…すげぇ目眩する。気持ち悪い…」
薬を飲み忘れていた影響が出始めた。

響「平気?もし吐きそうだったらトイレにでも…」
心「大丈夫だと思うけど…。吐き気とはちょっと違うような気もする、枕とって」
ソウルのベッドを指差す。

響「うん、はい」
枕をハートに渡す。

心「ありがとう」
枕を受け取り、うつ伏せになる。
猫が首の上に乗り、眠り出す。

響「ちょっとどいてあげようか、ソウル。ハートは体調悪いから」
子猫を抱き上げて抱える。

心「(三半規管イかれてるだろ…これ)」
う゛ーんと唸っている。
猫はそのままヒビキの腕の中で寝る。

響「…シルバーさん呼ぼうか?」

心「…いや、兄貴は仕事があるし、猫のことがバレるかもしれねぇからいいよ」
体を横に向け、丸くなる。

響「じゃあ、ソウルに声かけてくるよ。そろそろ上がるだろうし…どのみち、君のことならすっ飛んでくるから」
笑いながら部屋を出て行く。

心「あ…、皿洗ってない」
ヒビキを見送った後、思い出して体を起こす。

魂「なんだ、ヒビキ」
もうお風呂は上がってリビングにいた。

響「ハートがなんか調子悪いみたい」
魂「!?」
すぐに部屋へ向かう。

心「あ〜…、洗いに行かなきゃ」
立ち上がるものの、フラフラしてる。

魂「ハート!?お前、調子悪いって…」
駆け寄ってハートを支える。

心「ひっどい目眩がするだけだよ」
はははと笑うが目が笑ってない。

魂「だけって…どこ行く気だ?」
心「皿洗い。まだやってなかったからさ」
魂「それなら俺がやっておく。お前は部屋で休んでろよ」
心「…じゃあ頼むよ」
壁伝いに部屋へ移動する。

魂「(言ったはいいが、洗ったことねぇ…)ヒビキ、皿洗い手伝え」
部屋に戻って声をかける。

響「え〜っ」
魂「住ませてやってるんだぞ、このくらいやれ!」
ヒビキの腕を引っ張って下へ。

心「ソウル…皿割ったりしねぇよな」
ベッドに倒れ込み、天井を仰ぐ。

響「これ、まだ綺麗になってないよ。こっちも油っぽいし」
魂「………」
洗い方が雑で、何度もダメ出しを食らうソウル。

心「大丈夫かな…?」
ハラハラして休むにも休めない。

魂「………」
ゆっくり丁寧に食器籠へ食器をしまう。

響「……僕がやる。そんなバカ丁寧にやらなくても割れないから」
ソウルをどかせて、次々と食器を入れていく。

銀「風呂入ってこよう…。ん?珍しい光景だな」
キッチンを見て目をパチパチさせる。

響「よし、終わった」
魂「あ、ああ…ありがとな」
ソウルは半分以上傍観してた。

銀「…終わったみたいだな」
見届けてから風呂場へ移動する。

魂「ハート、終わらせてきたぞ。具合はどうだ?」
心「目眩がなかなか消えないな」
何ともなさそうなソウルにほっとする。

魂「そうか。何だろうな…」
心「薬飲むのが遅かったのかもな」
魂「悪い、もっと早く気付けばよかったな…」
心「飲み忘れた俺が悪いんだから、お前が気にすることはないだろ」
落ち込むソウルを励まそうとする。

魂「そうかもしれないが……俺が気付いていれば違っただろ」
心「まぁ、兄貴が気付いたからよかったじゃねえか」
どうにかソウルに自分を責めさせないようにしたいハート。

魂「……そうだな」
少しまだ納得してなさそうだが、頷く。



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