だからもう泣かないで




「幽々子様」


「あら妖夢、そろそろおやつにしない?」

「さっきおやつ食べたばっかりですよ」

「えーいいじゃない〜妖夢のケチー」

そういって私の主人は、子供みたいに足をバタバタさせた。

「そうだ幽々子様、運動しましょう、運動!そうすればもっとご飯が美味しく食べれますよ?」
「おやすみー、晩ご飯には起こしてね〜」


「逃げないでくださいよ幽々子様〜!」


そんないつもの日常。

もしも幽々子様がいなくなってしまったら。


い な く な る ?


私は生まれた時から幽々子様を見てきた。
幽々子様のいない白玉楼なんて想像がつかない。



「……幽々子様がいなくなったらっ私…っ」


ふいに涙が出た。なぜだか止まらなくて。
今まで涙なんか流さなかった。のにどうして今になって出るのだろう。



「…妖夢、どうしたの?」


起きていたらしく、涙を見られてしまった。主人に涙を見せるなんて。
心配かけちゃいけない。


「いや、これは目にゴミが入ってしまって」

「嘘」

ぷう、と頬を膨らます。

「本当は、違うんでしょう。言ってみればスッキリするわよ?」


ああ。どうしてこの人はそんなに優しい顔をするのだろうか。
甘えてしまいます。



「…っ、幽々子様がいない白玉楼を考えてしまったらっ…つい…っぐすっ」

話しているうちにまた涙が出てきて、私の心を不安で支配する。


「私を置いていってしまうのではないかって…うっ…うあああああああああああああん」


「大丈夫、大丈夫よ妖夢。いつも一緒にいるわ」


優しく私の頭を撫でて、髪を手櫛で梳いてくれる幽々子様が幼いころから大好きだ。

今でも変わらない、私の主人。

(この人にはなんでも見透かされてしまいます)

(妖夢の強がりはすぐわかるわよ)


end.


tiny










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