乙女なんかじゃないから



「なー香霖ー」

暫く見なかった(というよりは行かなかった)香霖堂の店主、森近霖之助通称こーりん。まあ私だけが主に呼んでいるが。



「久しぶり、魔理沙。異変は片付いたのかい?」


「ああ、大変だったぜ、少し油断してたらさ…」

はっ!
今日はこんな話をしにきたんじゃなかった。


「そっ、そんな事より!きょっ…今日にとりとかが花火上げるらしいんだ、だから…わっ私と一緒に…」



ガタガタガターッ


「うわっ、本がっ…ちょっとすまん、魔理沙」

「あっ…私も手伝うぜ…」

何でこんなタイミング悪いかな私は!


「ふぅ、こんなもんかな、あっ魔理沙なんか言うことあったんだろう?なんだい?」

「………忘れた」



あーあ、どうして言えないかな
たった一言。
一緒に行こう。 好き…とか。


昔は簡単に言えてたはずなのにな。





「じゃ、じゃあな!また来るぜ」

「はいはい、今度は要件忘れないように」


「わっわかってるぜっ!じゃあな!!!」


勢いよくドアをあけ、駆け出す私。
ほうきに跨り、地面を蹴った。



私が向かうのはアリスの所。パチュリーの所にいってなきゃいいのだが…


「アリスーいるかーっ?」

ドンドン、と少し強く叩いた。そうしないと伝わらないからだ。

「…魔理沙?どうしたのよ」
ガチャリと鍵をあけて、私を迎え入れたアリス。

「どうしよう…アリス、私っ…誘えなかった…」

「は?」



「がんばって言おうとしたんだけど、タイミングが掴めなくって…」


「ちょちょちょ、何言ってるのよ魔理沙、霖之助さんに何を誘ったの?」

「………花火大会」


「ああ、花火大会ね。びっくりしたわ」

なにが驚いたのだろう。

「まあとにかく、どうすればいいかな?アリス!」


「どうすればいい、っていわれても…言えないんじゃ元子もないような…」


「うう…」

アリスの言うことは図星だが、恥ずかしくて言えない。


「恥ずかしがってたらはじまんないわよ、一緒にいってげるから。」


嬉しい、けどなんだか恥ずかしい。
顔から火が出そうだ。









「さあ、魔理沙!頑張ってきなさい」

「やっやっぱり無理だぜ!」

「何言ってんのよいつもの威勢の良さはどこに行ったの?」

ズバズバと言うのはアリスの性格上だが、心に刺さる。


ドン、と背中を押され、少しよろけながらも香霖堂のドアを開け、大きく息を吸い、声を出す。

「香霖!いいい一緒に花火大会行かないか!?」


言った、私は言ったぞ!

「ああ魔理沙、別に良いけど…霊夢たちも誘っとくかい?」

「は?」

心の中の何かが割れた気がした。
私って恋愛対象に見られてない…とか?


「君はみんなでワイワイやるほうが好きだと思うし…」
「私はっ!香霖と一緒がいいんだっっ!!」



…………………あれ、何言ってるんだ私、ああああああああああああ!
恥ずかしい!


「い、いやそう言う感じの意味じゃなくてな………」
しどろもどろになる私。どうすればいいんだ。



「僕、だけでいいのかい?」

「あっ、ああ!聞きたいこともあるしな!あははは」

「そうか、後で聞かせてもらうよ、あと浴衣は着るのかい」

「着る…」

なっなんなんだぜ!?いきなり…

「じゃあ行く前に僕が着付けるよ」

「え」


やっぱりコレって

恋愛対象に見られてない…って事…なのか?


(でも好きなんだぜ)

(気付かれずにするのに必死なだけだよ魔理沙)




end.





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