燃える炎は貴女さえも


「慧音」
いつからだろうか。
私が慧音の事を意識し始めたのは。
「どうした?妹紅」
くるりと私の方に顔を向けて、仕事途中なのに。


「いや、なんでもない」
「なんだ、変な妹紅」
くすりと笑い、また仕事に戻る慧音。
私はなんだか寂しくて、構って欲しくて仕方がなかったのだ。
だけど素直じゃなくて、いつもいつも逃げてしまう臆病者だ。
「妹紅」
「何?」



慧音から話し掛けてくれるのはすごく嬉しくて。
「なんでもない」
「…変な慧音」

他愛ない話をするのが好きで。
慧音がいないと不安に襲われて。


こんな気持ちはいつのまにか無くした、はずなのに。


(私もまだ愛情は残っているのか)

少し自分に驚きながら、慧音の腰に手を回す。

ああ、暖かい。
私の纏う炎とは違う、人の暖かさ。


「妹紅?」


「……………しばらく、こうさせて…」

たまには素直になることも大事だって慧音が言ってた。だから。


「…わかった」






(やっぱり慧音が大好きだ)


「妹紅、仕事終わった…ぞ」

30分くらい経ったぐらいだろうか。やっと私の仕事は終わった。
まだ妹紅は私の腰に手を回したまま。

ドキドキが妹紅にバレてないか心配だ。

そして私は妹紅の顔が見たくて後ろを向いた。


「……もこ……………寝てる」


すーすーと寝息を立てて寝ている妹紅はなんだか幼い子供のようで守らなきゃという意識がより強くなった気がした。



(大好きだぞ、妹紅)





end.





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