*微裏 *シリアス *ユウタイ




 あどけなさを残した紫の瞳は、獰猛な猛禽類の光を称えていた。
「ユウ……?」
 それは、まるで蛇に睨まれた蛙のように青い瞳を絡めとる。
 無意識のうちに声も体も震えて、壁に押さえつけられた身体は動かない。
「ねぇ、タイキさん」
「っ……!」
 耳元で名を呼ばれて、大きく肩が跳ねる。
 いつもは柔らかさを含んだ声は耳には届かない。代わりに、艶やかな甘さを孕んだ声がタイキの鼓膜を刺激した。
「あれ? 名前を呼ばれただけで感じたんですか?」
 可愛い人だなぁ。とクスクスと控えめに笑う彼はいつもと変わらない。違うのは欲に濡れた瞳と、彼の纏う雰囲気だ。
 白い手が頬から首筋に、ほどよく焼けた肌の上を滑る。
「ユウっ、やめるんだっ」
「嫌です」
「なっ、……んぅ」
 口を塞がれる。言葉を紡ごうとした唇は半開きのまま、容易く舌の進入を許した。
 無遠慮に口内を動き回る熱い舌は、逃げようとするタイキのそれをあっさりと捕獲して蹂躙する。
「ん、うぅ…んっ! んん…っ」
 ぐちゅりとわざと立てられるであろう水音が、タイキの羞恥心を限りなく煽る。
 なんとかユウを押し退けようとするが、力の入らない手ででは意味のないことだ。
 上手く息が出来ず、脳に酸素が届かない。思考も霞み、涙で視界も滲む。
 ガクリと膝が折れて身体が沈んだとき、やっと唇は解放された。タイキは座り込み、咳き込みながら大きく息を吸う。
「な、ん……でっ」
 覆い被さってくるユウから逃れようと動きながら、タイキは問う。
「何でって、決まってるじゃないですか」
 なにを今さら当たり前のことをきくのかと言いたげに、ユウは首を傾げて笑う。
「好きだから、ですよ」
 貴方が欲しくて欲しくてたまらない。自分だけのものにしたい。
 手首を捕まれ、床に押し倒される。背中に感じる床の冷たさに鳥肌がたった。
「ユウ、俺は……」
「あぁ、返事はいいですよ。今、タイキさんが僕にそういう感情を持っていなくても、これから虜にするまでです」
 にっこりと笑って、ユウは優しく目尻に唇を落とした。
「まぁ、先ずは身体からいきましょう」

 骨の髄まで自分を刻み付けて、自分ナシでは生きられなくなればいい。



憧れの行き着く先は
(愛しい貴方とともに堕ちるなら)
(どこまでも堕ちましょう)

匿名様にささげます!
20120101

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