*キャラ崩し! *輝二の父親が変態 *輝二総受け




 そもそもなんでこうなったんだ。と俺は記憶を掘り返す。

「初詣を輝二と回るくらい、いいじゃないですか!」
「お前に輝二は渡さん!」
「拓也も父さんも落ち着いてよ。輝二は俺と二人で回るんだから」
「「誰が許すか!」」

 往来のど真ん中でぎゃんぎゃんと騒ぐ実の父親と双子の片割れ、そして一様……親友。人の目を物ともせずに、父さんたちは醜い争いを続ける。かれこれ十分位は不毛な言い争いを続けているが、よく喉が疲れないものだと、溜息を吐く。
 最初は父さんに連れ出されてやってきた。神社につくと輝一がいて、俺と回ろうと言い始めたので父さんと言い争いになっているところに拓也がやってきたのだ。
 初詣なんて誰と回ったって一緒じゃないか。という言葉は飲み込む。面倒くさいことになるのは目に見えているからだ。
 遅れてくるはずの義母さんはまだ到着する様子はない。
「……帰りたい」
 輝二の切実な呟きは、人ごみの喧騒に掻き消された。
「だいたい、君は輝二のなんなんだ!」
 父さんの問いに、何を考えたのか拓也は俺を抱き寄せて「恋人です」とほざく。
 拓也のとんでも発言に、父さんの眼鏡に罅が入った。おい、貴様は何さらりと嘘を吐いているんだ。
「もういくつもの夜を共にしたんです」
おい! 間違ってはいないがその言い方は誤解を招く! 
「輝二の心も体も隅から隅まで知り尽くs「もうこれ以上喋るな馬鹿野郎!」痛っ!」
 拓也の腹に肘を入れて黙らせる。父さんは「認めないぞぉぉおお!!!」と叫ぶ。いや、信じるなよ。
輝一がすかさずに「嘘は駄目だよ、拓也」と笑う。いいぞもっと言ってやれ。そう思った矢先、輝一は拓也から俺を奪って口を開く。
「輝二は俺だけのモノだから。双子だから心だろうが体だろうが輝二のことはなんでもわかるよ」
 前言撤回。お前ももう黙れ。
「お前らケダモノなんかに輝二はわたさん!」
 今度は輝一から俺を奪い返す父さんに頭が痛くなる。ケダモノって……。
「輝二にとって一番のケダモノは父さんじゃないか」
 ニッコリと笑う輝一の目は全く笑っていない。背筋が寒くなる。「輝二の母さんに言ってもいいんだよ?」と輝一の笑顔に父さんがたじろぐ。
「どういうことだ……」
「最近、輝二の隠し撮りをはじめたでしょう? 風呂とか着替えとか」
「なんでその事を!」
 瞬時に俺は父さんから距離を取る。
なるほど、最近感じていた妙な視線はこういうことか。帰ったら父さんの部屋を徹底的に調べ出してやる。
「とりあえず、もう俺に近づかないでくれ」
「こ、輝二……」
 泣いたって絶対に許さないからな。
 輝一が後ろで小さく「ざまぁ」と嘲笑っているのは聞かないふりをしよう。
「というか奥さんはどうしたんですか!? あと写真の焼き増しくださ……ぐふっ!」
 もう一度沈め。大体何に使うんだと聞いたら「オカズ」と言いやがったからもう一発蹴る。悪趣味にもほどがあるぞ。
「あれは俺の大事なコレクションだ! 貴様に渡すわけが「それがどういうことか、詳しく説明してくださいますか?」
 背後から冷たい声。見るといつからいたのか、義母さんが輝一以上の笑顔で微笑んでいた。
「ねぇ、あなた?」
「こ、これは、その……」
「言い訳は、家に帰ってからじっくり聞きますから」
 義母さんは言うなり、父さんの腕を引っ掴んでどこかに行ってしまった。
 尾を引くように断末魔が響いているが、俺の知ったことではない。この分なら隠し撮り云々は義母さんに任せよう。うん、それがいい。
「邪魔者は消えたね。さぁ行こう輝二」
「いやいや、輝二は俺と回るんだって」
 ……父さんがいなくなっても結果は一緒か。そろそろ周りの目を気にしてくれないか?
「「輝二はどっちと回る!?」」
 しばしの睨み合いの直後、二人は息を揃えてこっちを向く。その表情は危機迫るものが見えた。
「……三人で回るのは、駄目なのか?」
 できれば、そうしてくれるとありがたい。
「俺は輝二と二人きりがいいんだよ」
「俺だってそうだ!」
 現実はそうはいかないか……。言い争いを再開した二人を遠巻きに眺めつつ、深く溜息を吐いた。

「あれ? 輝二なにしてるんだ?」

 ヒートアップしたのか取っ組み合いの喧嘩を始めた二人を見て、もう帰ろうかと思ったら背後から声がかかる。
そこには純平がチョコレートを片手に立っていた。
「あけましておめでとう、純平」
「おう! おけましておめでとう……で、拓也たちは何してんだ?」
 挨拶を交わして、純平は離れた場所で乱闘をしている二人を見やる。
「どっちが俺と初詣回るか争っているんだ……」
「ははっ。相変わらず愛されてるな」
 ほんと物好きな奴らだよな。好かれるのは悪い気はしないが、少しだけ自重してほしい。そうぼやくと純平は苦笑した。そして少し考えた後に、ぽんと手を叩いて笑う。
「じゃあさ、俺と回ろうぜ!」
 純平はそう言うなり俺の手をつかんで引っ張る。戸惑って純平を呼ぶと「あいつらの争い見ててもつまらないだろ」と返ってきた。確かに、その通りだ。
「そうだな。一緒に回るか」
「へへっ。そうこなくっちゃな」
 未だに純平が来たこともしらない二人をほっておいて、賑やかな人ごみへ足を進める。握られた純平の手は温かかった。



まさに漁夫の利
((輝二はどこへ!?))

さっちゃんにぶん投げた年賀文!さっちゃん!今年もよろしくね!
20120101

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