*独白 *シリアスのち甘 *タイユウ



 貴方は自分のことなんて何の関心もないけれど、僕は貴方が素晴らしい人間だと言うことを知っています。
 最初こそ、無くすことばかり臆病で愚かな僕が、欲望を満たす存在でしかなかった。貴方を越えることだけを考え、遊び感覚でたくさんの命を弄んでしまった。
 真実を知り、後悔した時には全てが後の祭り。でもそんな僕を、貴方は真っ先に救ってくれた。なんでダークナイトモンよりも先に、貴方と出会えなかったのだろうって、今でも思うんです。
 ねぇ、知ってますか? 貴方が死んでしまったかと思った時、僕は胸が張り裂ける錯覚さえ感じたんですよ。
 ダメモンが消えてしまった時も辛かったけど、その時とはまた違う絶望を感じたんです。
 それは何でなのか、その時の僕にはまったくわからなかった。
 でも全てが終わり、姉さんと一緒に日常に戻って、僕はやっと気付いた。
 子供がおもちゃを欲しがるように貴方を求めていたのはただ単に貴方を越えることだけではなく、貴方に恋い焦がれていたからなのだと。強い貴方への憧れが恋心に変わっていたのだと。
 初恋、なんです。
 でもその気持ちを貴方に告げることはないと思っていた。きっと、伝えることさえ、烏滸がましい。
 それ以前に僕も貴方も男だし、たとえ僕が女だとしても貴方には僕なんかよりきっと相応しい人がいる。だから僕は貴方の隣ではなく、近くにいることを望んだ。
 でも貴方はそんな僕の決意なんか知るよしもなく、「好きだ」の一言であっさりと僕を隣に置いてしまった。
 嬉しくて嬉しくて、泣いてしまった僕を抱き締めてくれた腕が、とても暖かかったんです。
 貴方は僕が隣にいることを許してくれました、受け入れてくれました。だから、もう烏滸がましいなんて思いません。

「タイキさん、大好きです」

 伝えたかったことをやっと言い出せた安堵とともに、顔を赤くしてはにかんだ貴方に、愛しさが込み上げたんです。



恋は元より烏滸がましいもの
(烏滸がましくても、良いじゃないか)
(だって好きなんですから)


乙女なユウ君大好きです。
20111212

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -