*パロディ *レーベモン×輝一




人の気配に、重い瞼を開けた。どこだっけここ、今何時?…あ、俺またソファで寝てる。寝るなら部屋に行けってレーベにしょっちゅう叱られるから、この癖なくなったと思ってたのに。うーん、俺いつ寝たっけ?
…そもそも、寝る気あった?
「しまったああっ!!」
「うわっ」
ソファからがばりと身を起こした俺を、ダイニングテーブルについて今まさに箸を握って合掌していたレーベがびっくりして振り返った。
「え、ちょ、いつ帰ってきてたの!?」
「ついさっき。悪い、起こしたか?」
「あ、ううん、それは平気」
「というかお前、あれほどソファで寝るなと…」
「寝る気はなかったんだよっ」
時計を見上げると十一時。レーベが帰ってくるまできちんと起きていようと思ってたのに、普段ならもうちょい起きていられるのに、俺の馬鹿。ああもう、時計を見る時間さえ惜しい。机の上、レーベのために用意しておいた夕食を今まさに食べようとしている彼を慌てて止めた。
「まっ待って!マヨネーズ!それマヨネーズつけて食べてって言いたかったの!」
寝起きの焦り具合のまま腕にしがみつく。それを聞いて、レーベは俺と視線を合わせた。俺と対照的に落ち着き払った彼は、ほんの少しだけ呆れを混ぜた心配顔。
「それを伝えるためにわざわざ起きていたのか?置き手紙しておけばいいのに」
「…うん。そう、だね。ごめんなさい」
つきんと痛んだ胸を隠し、小さく笑い返して離れた。本当は、理由なんてどうでもいいんだ。ただ貴方に会いたかっただけ、お帰りを言いたかっただけ。…できなかったけどね。冷蔵庫を開けてマヨネーズを出し、テーブルまでの短い距離をまた戻った。
「はい」
勝手に一人でいたたまれなくなって、声と共に机にマヨネーズをおく。そっと引いた右手を、不意にレーベが掴んだ。ため息が聞こえて、うまく笑えてる自信はないのに反射的に顔を上げてしまう。合わせてしまった視線は外れず、ぐいと引き寄せられて。そのまま口をふさがれた。
触れるだけの、でも長いキス。重ねた唇じゃ笑うことも無理な笑みを作ることもできなくて、ただただその温度を甘んじて受け入れいた。唇だけじゃない。掴んだ腕は互いの鼓動を確かに伝えていて、レーベが帰ってきたんだって何よりも分からせてくれた。あたたかい、と思う。レーベは確かにここにいる。
離れる。腕は離せないまま、レーベの体温が移った唇で俺は笑った。
「…分かってない、ね。こういうことするから、俺、レイの帰りを待っちゃうんだよ?」
「仕方ないだろ、輝一がいてくれるのは嬉しいんだから」
ふてくされたようにレーベは言い、額を触れ合わせた。
「悪かったよ、そんな顔するな。…ただいま、待っててくれて嬉しかった」
「…お帰り、レーベ」
「ああ、ただいま」
「お帰り」
首にぎゅうと抱きつくと、レーベは少し困ったように笑って背中を抱き返してくれた。
貴方が帰ってきた、そう分かった瞬間にきらりと跳ねる心が。出迎えたときに見られる、きっと俺だけしか知らない貴方の表情が。そして何よりも、貴方が好きだから。俺は貴方を待ってしまう。


おかえりなさい

 この度相互をさせていただきました『Holiday』の管理人である北園羊ちゃんから素敵神文をいただきました!
 読んだ瞬間、萌え滾って私はマンション住みであるにも関わらず、盛大に発狂しました。ツイッターで荒ぶり「あ、やべ、今なら死んでもいい」と訳の分からないことを言いながら、弟に「うるせーよ」とタックルかまされたのち、壁に三度ほど頭をぶつけてやっと落ち着きました(ふいー)
 羊ちゃんの持つ文のテンポや、行動描写における心理描写はホントに神がかり過ぎていて、もうホント好き!会話文と描写のバランスも素晴らしいのです!
 もう羊ちゃん宅の十闘士、とりわけレーベさんが大好きな私はもう幸せです。
 レベ一なんてどんだけマイナーなんだよ、というCPにも関わらず羊ちゃんはこんな素敵文を書きあげてくれました。マジで感謝!もう大好きです!(←
 
羊ちゃんの素敵サイトはこちらー。Holiday


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