*ベッタベタ *甘 *タケ大



 馬鹿げた話だと思う。
 ある朝起きたら小指に赤い糸があって、その糸は何処かに繋がっているようなんだ。
 どんだけ手繰り寄せても端なんて見えない。
 それは俺にしか見えないらしくて、仕方ないから飯食べて家を出たんだ。
 糸は外に伸びていた。たまたま学校の方角だったから興味本意に追いかけた。
 赤い糸だから、もしかして運命の相手とかに繋がってんのかなって馬鹿な考えを持ったんだ。
 途中で会ったヒカリちゃんには糸は繋がっていなかった。でも何故だかあまり残念だとは思わなかったけど。
 辿って辿ってついた先はやっぱり学校で、しかも俺のクラス。
 糸の先は当然クラスにいたやつの小指についてた。
「おかけでそいつを気にしすぎて、全く授業に身が入らなかった」
「それはいつもでしょ?」
「うっせ」
 俺はそいつのことが嫌いだった。ヒカリちゃんと仲良さげだし、俺より何でもできるし。あとなんか時々笑顔が怖い。
 まぁ、嫉妬もある。
 でもな、そいつにも良いところがあるのは知ってる。というか、しばらく気にしすぎていて、いろんな面が見えたんだ。
 誰にでも優しいとことか、そのくせ自分を曲げないとこだとか、バスケしてるときの真剣な表情だとかな。
「君は貶したいの? 誉めたいの?」
「聞けって」
 気がつけば、繋がってる糸は不快では無くなった。
 でもそう自覚したらさ、次の日には糸は綺麗さっぱりなくなってたんだ。もちろんそいつの指にも糸はない。
 もしかして縁が切れたのかなってすげー不安になった。それが無性に悲しくて苦しくて仕方がなかったよ。
「大輔君は何が言いたいのさ」
「わかってるくせに聞くなよ」
 にやにやすんな、ばーか。
 まったく自分でもおかしいと思う。ヒカリちゃんに淡い恋心を抱いていた、純粋な俺を返しやがれ。

「つまるところ、お前を好きになっちまった訳だ。責任とれ」
 
 そう吐き捨てたら、返事の代わりに腕を引かれてキスされた。



結ばれた縁(えにし)
目には見えなくなったけど。


ベタな赤い糸ネタである。
20111207

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