*レオモン追悼 *シリアス *加藤樹莉独白





 私は永遠なんて信じていなかった。永遠というのは、人間のたった七十年前後の寿命では到底不可能なものだと知っていたから。
 人間はその七十年の間に、出会いと別れを幾度となく繰り返し、泣いて笑って生きていく死んでいく。そういうものなの。
 お母さんの死で、やっと出会えたパートナーの死で、私はそれを深く学んだ。もうそれが運命だから仕方がないなんて、悲観的な考えはしたくないけれど、やっぱり仕方のないことなんだなぁって思うの。
 それでもやっぱり、前を向いて進んでいかなくちゃならないから。
 それを教えてくれたのは、他ならぬあなたで、たくさんの大切な友達だから。
 私はちゃんとまた前を向くことができました。
 ギルモンちゃんたちは元の世界へ戻って行ってしまったけど、私たちには元の日常が戻ってきた。
 元と違うのは、今まであまり話さなかった男の子たちとカードゲームをするようになったり、他校の女の子のお友達と遊ぶようになったこと。あとお父さんが前よりも少し優しくなったかな。
 私は無くすことを今まで怖がっていた。
 でもね、無くすことを怖がるよりも、今ある大切なものを大事にしていくことの方が大切だと思うようになったの。
 永遠よりも、限られた時間の中で見つけられるものの方が、遥かに価値がある。たとえいつか失ってしまっても、それまでの時間は決して無駄ではないものだから。
 この黄色のアークだって、あの時間が確かにあったことを証明する大切なものなのよ。
 やっとそう思えるようになった、今の私だから貴方に言えるようになったことがあるの。


「レオモン。私のパートナーになってくれて、ありがとう」



永遠なんていらなかった
(永遠の中に価値なんてないから)



永遠なんていらなかった

 すべてが終わって、自分の弱さをちゃんと乗り越えてから初めて、彼女はお別れの言葉を言えるのだと、思うのです。
20111129 お題:鳥籠の月様

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -