*闇堕ちR-15 *シリアス *マサ拓


 無惨に裂かれた服を掻き抱いて、薄暗い部屋の真ん中で小さく震える背中は酷く滑稽だ。
「これまた手酷くやられたな」
 声をかけたら小さな体がびくりと跳ねた。足元に転がっていた帽子とゴーグルを拾い上げて拓也に近付く。
「マサ、ル」
 散々泣かされたであろう声は掠れていた。薄暗い中でも涙の跡がハッキリと見えて、ふつふつと奴に対する苛立ちが沸き上がる。
(あのヤロー……ここまでするか?)
 わかってる。これはかつての仲間を始末できなかった、拓也に対する罰。その後始末を俺にさせようってんだから尚更質がわりぃ……。
「いい加減、腹ぁ括れ」
 最初からわかってた。覚悟して裏切った。だからいまさら躊躇うな。
 鳶色が揺れる。馬鹿だな、そうやって瞳に出るから奴に目を付けられるんだよ。
「わ、かって……る」
 傍らにしゃがみこむと、傷だらけの肌に散らばった赤い跡がハッキリ見えた。触れてなぞる。さっきの記憶を思い出したのか拓也が身を固くした。
「なんなら俺がやってやろうか?」
 言いながら、あの奴が付けた跡に俺のを上書きしていく。拓也はいやいやと首を振りながら唇を噛みしめる。
「お前にあいつらは始末できないだろ」
 問いではなく、断言。お前はまだ過去を捨てきれていない。だから奴からこんな仕打ちを受ける。わかってんだろ?
「でも……」
「元恋人は殺せないってか?」
「……ひっ」
 羽織っているだけの服を剥ぎ取って、剥き出しの鎖骨に歯を立てる。短い悲鳴と同時に、青臭さが鼻をついた。
 ボロボロの体を床に引き倒すと、涙を流しながら「やめて」と懇願する。そんな姿に欲情した。なんだかんだで俺も奴と変わらないな。
「…ひゃ…ぁぅ……」
 薄い胸に手を這わせれば、仕込まれた体は過剰に反応する。
「他の奴なんて忘れろ」
「ふ、ぁ……いや…んっ」
 抵抗しようと開いた口を容赦なく塞ぐ。
 お前は奴のモノでも、元恋人のモノでもない。お前は俺のモノだ。


獣染みた独占欲のなれの果て
(誰かの手に渡るぐらいなら)
(その喉を食い千切るまで)


だいぶ前にツイッターであげたものですが、このぐらいなら大丈夫であろうと思って。
201202

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