*学パロ! *甘 *太マサ


 オレンジの太陽は、もう立ち並ぶビルの向こうへと沈みかけている。
 道行く幼子たちは母親に手を引かれて帰路につく。すれ違い様に晩御飯の話題が耳に届いた。
 夕日に照らされた長い小豆の髪が風に靡く。俺の手にあるサッカーボールが入ったネットも揺れた。ついでに翻ったマサルのスカートに目がいってしまったが、俺は悪くないと思う。
「何でこんな時間までお前を待たなきゃならねーんだよ」
「部活だからしかたねーだろ?」
 ため息交じりのその声に苦笑。
 大会が近くなるにつれて、部活の時間が延びるのはあたりまえだ。自然と一緒に帰るのが日課になっているマサルが帰路に着く時間も遅くなっていく。
「別に待っていなくてもいいんだぞ?」
 まぁ、待っててくれるのは嬉しいんだけどさ。あまり遅くまで残るのはよくない。一応、マサルだって女なんだし。そう言えばあからさまに嫌な顔をされた。
「……変なタイミングで女扱いするなよ、気持ち悪ぃ」
「気持ち悪いとはなんだよ、失礼だ…あいた!」
「思ってもねーこと言ってんなよ」
「殴ることねーだろ!?」
 ほんと、女扱いされると照れ隠しに拳が出るんだよな、こいつ。
「男なら思った事だけ言ってろ!」
 なにその男女差別すれすれの言葉は。
 すたすたと前を歩いていくマサルの背を見て、ふとある事を思いつく。
「じゃあマサル」
「ん?」
「今から本当に思ったことを言う」
 微妙に離れた距離で、マサルが止まる。
 ふわりと舞った髪を邪魔そうに右手で払いのけて、マサルは不満げな表情で俺を振り返った。
 今からその顔がどう変わるのか考えて、自然とニヤつく口をなんとか押えて、俺は息を吸って言葉を吐き出す。

「恋愛的な意味でお前が好きだ! 俺の彼女になれ!」

 瞬間に飛び込んできたのは、真っ赤なマサルの顔と、鳩尾への拳。




愛が痛いのです
(マジで意識飛びそうだった)
(こんな場所で!大声で告白する奴があるかぁぁぁああ!)


学パロ
20120401

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