*デジハン03/18ネタバレ注意 *シリアス *タイリョ


「貴方たち6人が揃っているのも、実に困る」
 迫る武器がスローモーションされているかの様に見えた。
 オメガシャウトモンの体が俺を庇おうと動く。
 目の前のリョウマの前髪が揺れた。その下に見えた青磁色の瞳は、何も写してなかった。
 声は出ない。
 初めて路地裏で、そのガラス玉のように艶やかな青磁の瞳を見た。その奥に、俺に対して憧れに似た感情が宿っているのを知ったのはいつだったか。自分を慕う後輩たちから感じる憧れとはまた違う、激情にも似たそれは、どこか危機感さえ抱いたのを覚えている。その瞳から感じた激情が恐ろしくて、俺はリョウマの瞳をちゃんと見ようとしなかった。
(リョウマ……っ!) 
 武器がオメガシャウトモンを貫いて、俺の体をも掠める。
 焼かれるような激痛が走った。
 体がシャウトモンから離れていく。
 ぶれる視界で、遠のいていく意識。
 リョウマの瞳が見える。何も写していなかった瞳は、光が戻っていた。

――タイキさん?

 リョウマの唇が、微かにそう動いたのは目の錯覚だろうか? 声にならない呼び声。一瞬だけ見開かれた瞳は絶望に染まり、再びそれに光を浚われる。
 投げ出された体は、固い甲冑に覆われた腕に受け止められた。
「お前っ…!何すんだぁ!」
 遠くから大輔の声が聞こえる。
「まだわからないのかい?」
 遠のく意識の中で、首だけをかろうじて動かして、リョウマを見た。ただのガラス玉に戻った瞳は冷たい。
「私は、クォーツモンの味方だ」
 青磁が揺れた。その奥に、かつて感じたのとは違う感情が見える。
(違う、違うっ!お前は……っ!)
 叫ぼうとしても声は出ない。
 もっと早く気付いてやればよかった。もっとお前をちゃんと見てやれば、こんなことにはならなかったのに。
(ごめん……っ)
 溢れ出る後悔の念に覆われるように、俺の意識はここで途絶えた。




落ちて砕けたビー玉と感情
(お前は、いつも無意識の内に助けを求めていた)
(俺に対する憧れ以上の感情を抱えて)


最上の気持ちに気付きつつも、目を逸らし続けたタイキさん。そしてその結果。なんつって。はい。
20120320

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