*太マサ


 名前を呼ばれて目を覚ますと、なんかやたら太一にそっくりなイケメンがぼやけてる視界に入ってきた。
「おはよ、マサル」
 俺と同じぐらいの歳だろうか? これまた嫌に聞き覚えのある声で挨拶してくる。ここに来てから一緒に行動していた太一の声とそっくりだ。そういやあいつの姿が見えない、け、ど……。
「……えーっと、どちらさん?」
 上体を起こして聞いてみると、明るい橙茶の瞳がスッと細められた。記憶違いでなければこれは太一が怒っているときの顔だ。
「ははっ、朝から冗談きついな。一緒に寝てたじゃないか」
 ずいっと寄せられた顔は笑ってるが、目が全く笑ってない。というか、顔が近い。
「た、いち……」
「なんだ?」
「デカく、なったか……?」
 昨日までは確かに俺より幼かったはずだ。寝起きでなかなか働かない頭で必死に考えていると、肩を押されベッドに上体を戻された。
キスが出来るぐらいまで顔を近づけられる。大人びたそいつの顔を直視できなくて視線を逸らそうと首を動かすと、かさついた手で首筋を撫でられて息がつまった。
「っ、太一、」
「肌、綺麗なんだな。髪も」
 この状態は結構まずいのではないかと、今更思う。逃れようにも額を合わせられて視線を固定されてるからも叶わない。
 押しのけようと上げた腕は素早くベッドに縫い付けられ、手の代わりに太一の顔が首筋に埋められる。太一の吐息とか髪の毛が首にかかって背筋からへんな感覚があがってきた。
「おい、悪ふざけはよせって……!」
 流石に耐えきれなくて抵抗すると唇を塞がれる。触れるだけのそれは俺の思考と抵抗を止めるには十分すぎた。

「悪ふざけで、こんなことしない」

 そう言った太一の瞳に、表情に、幼さは欠片も残っていなかった。




流されて、溺れる
(本気でお前が欲しい)


14歳太一さんに迫られてうろたえるマサル兄貴とかどうでしょう
20120313

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