*ほのぼの? *太マサ


 強い光に一時的に目が失明しただけだとトーマは診断した。そのことに自分以上に安堵する周りの声がマサルにはくすぐったくて仕方なかった。

「ごめんな」

 二人しかいない病室で、マサルよりもはるかに小さな手の平が頬を撫でる。それが前回の戦闘で一緒に戦った太一のものだということは包帯越しでもわかった。
「……後悔してるか?」
 反対の手を、もう取ってもいいと言われた包帯にかけたまま、太一はそう尋ねてきた。
「俺についてきたこと」
 何も答えないマサルに太一はそう付け加える。
 おそらく太一は責任を感じているんだろうなと、マサルは失笑する。もとより、自分が考えなしに敵に突っ込んでいったからこうなった訳で、別にお前のせいじゃねぇのに。とマサルはそう心の中でだけで呟く。
「してねぇよ」
「本当か? 無理してないか?」
 そもそもマサルは自分で太一に着いてくって決めたのだ。その先で怪我をしようがどうなろうが自己責任であり、あまり心配されると餓鬼扱いされているようであまりいい気分ではなかった。でもそれを直接本人に言うことはしない。外見を差し引いても引かなくても、彼の持っている雰囲気からか、マサルは太一には頭が上がらないからだ。
 太一は小学生の姿をしているが、生年月日的にはマサルよりも年上。事実、太一はマサルを年下扱いしてもおかしくはなかったりする。
「無理なら最初からお前についてこねぇよ」
「ならいいんだけどさ……」
 視界を遮っていた包帯が緩む。
 一週間ぶりの光に目を閉じて、またゆっくりと開く。最初に飛び込んできたのは柑茶色の強い光を持った瞳だった。
「太一、近い」
 文字通り息のかかりそうなほど近い位置に顔を近づけられ、マサルは戸惑った声を上げる。太一はそれでも御構い無しに、マサルの常緑樹を思わせる緑を覗き込む。おかしなところがないか探しているのだろう。
「見えるか?」
「見えすぎるほどにな」
 別におかしな意味はないのだろうが、間近にある太一の顔があまりにも真剣そのもので、マサルは思わず息を止めて柑茶の瞳を見つめ返す。頬に添えられている手のせいで目は逸らせなかった。
 どのくらいそうしていたのだろうか。満足したのか柑茶がほんの少し離れる。数十秒か数分か。どっちにしろマサルには長い時間そうしていたように感じた。
「よかった」
 そう太一が笑った瞬間、マサルは自分の心臓が早鐘を打っていたことにようやく気が付いた。


その理由もわからぬまま魅入られる
(こいつが太陽に例えられるわけがわかった気がする)


太陽に魅入られるのは人の性というもの。
20120306

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