忠誠とポリアンサ
お茶は仕事の後に
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お茶は仕事の後に


リカシア王国には騎士団がいる。国と民の為に動く騎士の中にはマスターガーディアンという王族に使える騎士がいた。その騎士の一人、ルーウェンは首都リィリアの闘技場にいた。
本人としてはあまり気の乗らないことだが、上からの命令とあらば動かざるおえない。気の乗らない理由はただ嫌いなのだ。目立つことが。


「何でルーなのか気になるところですけど」

「あら、それはあんたが女でマスターガーディアンだからじゃないの?」

「……レイニィ……何でいるんですか」

「今日非番でね? エリカ様に頼まれたのよ。ルーウェンが大丈夫かどうか見てほしいって。ルーウェン、あんた、この前の傷口まだ開くんですって?」


この前の、で思い出すのは怯えた振りをして囮をしている時に負った傷だ。治ったと思ったらいつの間にか開いていた。剣の稽古をしていて開いたのだろう。深い傷ではなかったのだが、何回かやってるうちに一週間が経った。ため息をついて腕を見ると、傷は塞がってはいたが念の為と処置されている。


「もう塞がりましたよ。そもそも剣の稽古を増やしたのが原因です。自己管理がなっていなかっただけですから」

「何で増やしたのよ。マスターガーディアンになるくらい強いのに」

「まだまだです。もっと……強くならないと」


何故そこまで強さに執着するのか。
レイニィは観客席からルーウェンを見た。華奢な体格と少女らしからなぬ整った顔立ちに反して人を見るその目は冷たい。あまり親しくない者に対する態度はどこか、一線を引いている。壁を作るというのも間違っていない。人見知りではないようだが人を避けることが多い。
マスターガーディアンの称号は王族付きの証だ。騎士にとっての誇りであるからに喜ぶ者も多い。けれど、ルーウェンは喜ぶでもなし、ため息をついた。その理由を知る者は本人だけだ。


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