忠誠とポリアンサ
緑の淡光と刃の光
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緑の淡光と刃の光


月星祭の前日、ルーウェンはリカシア王国の国王に呼ばれていた。国王は跪くルーウェンに目をやると優しい眼差しを向けた。ユキリア以外の家臣を下がらせて国王はルーウェンに言う。


「面を上げよ」


ルーウェンは何も言わず、国王を見る。


「隣国、ユーリア帝国の王子が明日の月星祭に来ることになった。ついてはルーウェン、お前に護衛を頼みたい」

「私は……私はエリカ様の騎士です」

「分かっておる。だが、お前以外に頼める者がおらぬのだ」

「何故ですか?」

「お前でなければならないからだ」


ルーウェンは目線をユキリアに向けた。


「ベヴァイスの力が必要になるかもしれないということだ」

「魔術使える騎士は私以外にもおります。神子かとて同じこと」

「……ルーウェン」


ルーウェンは何も言わない。ただ目を腕に向けて伏せた。昔を思い出すように腕に触れる。


「……わかりました。ですが、時間になれば私は自分の仕事をしますよ?」


国王に対してルーウェンは一介の騎士。だが、ルーウェンは呆れたように言った。それを国王は咎めることはしなかった。
ルーウェンは何に対しても無関心であること。その無関心の中にある優しさを彼は知っている。その内に秘める想いと使命をも。知っているのに何もしないでいた。


「話は以上でしょうか?」

「ああ」

「では失礼します」


国王を見上げ、ユキリアを一瞥した。一礼して謁見の間を静かに去った。

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