夢見た景色
復讐の始まり
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あんたのすました顔が嫌なの


あんたが生きてるのも


私が生きてるのも


何で生きてるのよ


あの人達は死んだのに





復讐者の始まり






教室に行くと敵意の眼差しがあたしに集中。意味がわからないまま席に着くと、一人の男子生徒が来て言った。



「人苛めるなんて最低だよな」

「鵜呑みにする奴の方が最低じゃない?」

「何のこと言ってるかわかってるのか?」

「さあ。何のことだろうな」



男子生徒はあたしの胸倉を掴んだ。



「お前のことだよ」

「は?」



キセキは眉を潜めた。



「登校してそうそうにしては嫌な冗談だね」

「冗談? 冗談でこんなこと言うて思うか」

「言う奴は言うでしょ」

「今朝、ナディアを殴ったらしいな」

「…………」



復讐ってこういうことか。
――意外とセコいやり方するんだ。



キセキはナディアを睨みつけた。

本当に怯えたのだろう。ナディアは肩を上げた。



「あたしがやったって証拠がどこにある?
あたしは今学校に来たのに」

「それは……一旦帰ればいいだろ!」

「嫌よ、そんな面倒なこと」



速答だった。



「何でそんな面倒なことをわざわざしないといけないの」



橙の瞳は純なものなど知らないという様な、とても冷たい目だった。
それはとてもとても、凍える様な。



「てめぇ!!」



胸倉を掴んだまま、キセキを殴った。



「ってー」

「ナディアはお前より痛い目にあったんだぞ!!」

「うっせーな。痛みに優劣なんかあるかよ」

「何だと!!」



もう一度拳が振り下ろした時、キセキに当たることはなかった。



「!!」

「二度目は当ててやらないよ」



キセキの右手は男子生徒の拳を掴んでいた。



「離してくれるなら離すよ」



にっこりと天使の様な笑みをした。だがそれは、後ろに黒いものを宿していた。



「…………」



怯えた様に手を離した。
キセキも手を離し、席に着いた。

険悪な空気の教室に入ることの出来なかったツナ、獄寺、山本を一瞥して。



「君達はきっと、彼女側に回るだろうね」



キセキの呟きは誰も聞いていなかった。
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