夢見た景色
道場娘と殺戮者
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ボクは自分の道は自分で選んだつもり
道場を継ぐことも自分で選んだこと
ボクの目標であり、大切な人
母さんと父さんがくれた道
ボクはボクの道を選んだ
険しくても、ボクは進む
道場娘と殺戮者
虹の守護者候補が居る場所まで来たあたしは、家光に書かせた住所付近を歩いていた。
雪と夜。無に還す者と見守る者。
昔、エルフとドライに聞いたことがあった。ボンゴレには一人だけ、虹の守護者がいたことを。虹は無に還す雪と見守る夜とは違い、どう謳われているとか、何が使命だとか伝わってはいない。ただ、とても寛容で、とても厳しくて、とても優しい人だったと。そして、みんなの絆を繋いでいた人だったと。そう、二人に教えられた。
どうして二人が知っているとか、どうして今代に継承されるとか、さして興味無い。
「ここか」
だけど、確かめたいんだ。虹を継承するに足る人物なのかを。
「はい」
日本とは違うドアホンを叩いて出てきたのはあたしと同い年か、少し下くらいの東洋人の少女だった。少女は訝気にあたしを見る。
「My name is Chisechi Malacaito.」
「Chisechi?」
「Yes. Akiho Saijo do you?」
「Yes.」
「Do you speak a Japanese?」
「……はい」
「良かった。あまり人に聞かれたくない内容を話したいから日本語のが都合良いのよ」
「そうですか」
「ええ」
彼女、西城 銘歩が虹の守護者候補。普通の、どこにでもいるような少女が。
「最近、変なおじさんか身内から指輪を預からなかった?」
「えらく、直球ですね」
「まあね」
彼女は笑った。
「上がってください」
「お邪魔するわ」
◇◆◇◆◇
「コーヒーでいい?」
「ええ」
「砂糖とミルクは?」
「ブラックでお願い」
「分かった」
待ってる間、少し話をする。
「親は?」
「居ないよ。ボク、身無し子だから」
「そっか」
「キセキは?」
「親代わりがいたけど、死んだわ」
あたしたちは笑った。
「同じだね」
「うん。同じ」
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