夢見た景色
そして君は泣いた
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「や……やめて」
「お前がいけないんだろう?」
「な、何で!?」
「まだわからない?」
「きゃあぁぁあ!!」
そして君は泣いた
「沢田 綱吉、あんたを殺す理由がなくなったよ」
「え?」
「あたしはまだ金を貰ちゃいない。だから、殺す理由がなくなった。つまり、今は普通の学生、OK?」
「う、うん」
沢田は複雑な顔をした。
「どうした?」
「いや、何か違和感が……」
「この話し方は元々ドライの影響だからな。前の話し方はディーノに言われたから直しただけ。別に良かったんだけどねー」
男口調と前の話し方が一緒になって違和感……というより、可愛いと思った。
「おーい、つーなよーしくーん、何でそんなに顔が赤いんだい?」
「べ、別に赤くなんか……!!」
そう言うと、彼女は笑った。
初めて、作り笑顔じゃないの笑顔を見た気がする。
「これからどうするんだ?」
「とりあえず、イタリアに戻るよ。やり残しがあるから」
「いつまでそんな生活をするつもりだ?」
「ずっと……かもね。もう戻れないところまで足を踏み入れたから」
「お姉ちゃん?」
ミクに目線を合わせた。
「ごめんな? また一人にするけど、いい子に出来るか?」
「うん!」
屈託ない笑顔。キセキは目を細めた。
「綱吉君、今日少しの間、ミクを頼める?」
「うん、良いよ。うちチビが結構いるから」
「じゃあ……お願い」
何故か、姫昔は目を伏せた。
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