夢見た景色
過去の過ち
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オレはあの子の事を何も知らない



あの子がどうしてオレを殺したいのかも



何があの子を縛っているのかも



何も知らない



だけど、彼女の眼は悲しんでいた





過去の過ち






キセキと綱吉は戦っていた。



「ぐっ」

「反撃しないと死ぬわよ。殺す気で来なさいよ」



銀色の光を放つ短剣からは微かに血がついていた。



「オレは誰も殺したくない」

「甘い考えね。嫌いじゃないけど、時と場合によるわ」



短剣を棒に戻し、キセキは綱吉を見た。



「殺したくないのは良いわ。だけど、仲間が殺されかけたらどうする? 殺されたらどうするの?」

「……」

「仲間の為に闘うでしょうね。仲間の為に。そんな考えやめないと、そのうち本当に死ぬわよ?」



綱吉はゆっくりと、口を開いた。



「それでもオレは……友達を、仲間を守りたい」

「…………どうして?」

「仲間が……大切だからだ」

「…………」

「だから姫昔、オレたちと……」

「一緒に闘いなさいよ!! そうしたらあたしは……あたしは……」



キセキはそこから走り去った。



「きせ……!!」



身体の激痛に顔を歪ませる。と同時に、心配するような声が聞こえた。



「ツナ!! 大丈夫か?」

「はい。ありがとうございます、契斗さん」



呼び止めようとすれば毎回、契斗に邪魔をされていたのを思い出した。



「あの……どうして姫昔を呼び止めようと邪魔するんですか?」

「……今日は意味があるからだ」

(いつもは無かったんですか)

「今日はお前に知ってほしい事があるんだ」

「え?」

「その為にディーノも呼んだぞ。オレ達より詳しいからな」

「とりあえず、家に戻ろう」



オレの意識はそこで途絶えた。

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