夢見た景色
殺戮者、現る
1/5

初めて人を殺したのはいつだろう。



いつまでこんな事を続けるのだろう。



誰か、誰でも良い



あたしを止めて



誰か、あたしを殺して





殺戮者、現る






「よっ、ツナ、契斗先輩」

「おはようございます! 10代目」

「獄寺君、山本、おはよう」

「おい獄寺、俺には無しか?」

「けっ、誰がてめぇにするか」

「相変わらずだな」

「それよりさ、前に契斗先輩が言ってたツナと同い年の妹って来てないんスか?」

「ああ、あいつは俺達を知らないからな」

「知らない?」

「何でですか?」

「俺達が言ってないからだ」

「そうですか」



何で言わないんだろう。義兄弟なのに。
何か理由があるんだろうけど……。


ドンッ



「あ、すみません」

「いえ、こちらこそすみません」



綺麗な金色の髪に悲しいような橙の瞳が印象的な女の子だった。



「てめぇ、何やってんだ!!」

「ご、獄寺君!」

「沢田 綱吉はあなたですか?」

「え? あ、はい(あれ、何で名前……)」

「そう、個人的に恨みなんかないんだけどあなたには死んでもらうわ」

「ええ〜!!?」



女の子はオレに向かって刃物を振り上げた。
わざと当てなかったのか、オレの目の前を一閃したナイフは次の攻撃に来なかった。
その代わり、甲高い音が耳障りに響いた。



「いきなりそれはねえんじゃないか?」

「あんたに関係ないでしょ。
あたしは仕事でやってるだけよ」

「仕事?」

「邪魔しないで」

「ぐっ」

「山本!!」



蹴り飛ばされた山本は道路に転がった。



「次、誰?」



橙の瞳は冷然と三人を見る。
掴んでいるナイフの柄と鍔と刀身を鞭が巻いた。



「それくらいにしろよ、キセキ」

「あんたも関係ないでしょ? 跳ね馬 ディーノ」

「ツナはオレの弟分だ、関係ないは間違いだな」

「ふうん、そうだったわね。でも興味ないわ」

「!!」



ナイフが短い棒に変わって消えた。



「……なんかシラけた」

「は?」



クスッと女の子……キセキ、さん? が笑った。



「どこに消えたって感じね」

「な……」

「ま、これからよろしく。沢田 綱吉君?」

「どういう……」

「良いの? 学校に遅刻するよわ?」

「あー! 急なきゃ!!」

「……」



蒼い瞳の少年がキセキを一瞥し、去った。
二人きりになった道端、ディーノはキセキに言う。



「お前、何やってんだよ」

「何って、仕事」
    ツナ
「ボンゴレ10代目を殺す事がか?」

「ええ、それが依頼だから」

「…………」

「何。軽蔑する?」

「いや、万屋がお前の仕事だ」

「そう」



キセキは綱吉達が向かった方へ進んだ。


「どこへ行く!!」

「学校。何かあいつから連絡あったの。
沢田姓で編学手続きしたって」

「あの人が?」

「別に良いのにね。学校なんて行かなくてもさ」

「お前中学生だろ」

「年齢なんてあたしには関係ないわ。
推定なんだから」

「お前な……」

「飢え死にしない程度の仕事をくれることに関しては感謝するわ。けど、それだけよ」

「……」

「ねえ、ディーノ」

「何だ」

「どれだけ血に塗れたら良いんだろうね」

「それって……」

「忘れて。戯れ言だから」



キセキはその場から消えた。



「…………苦しんでるんだな」



そりゃそうか。
物心付く前から殺伐とした生活をしてるんだよな。


6
.
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -