ペルソナ夢 | ナノ




4月16日

朝の教室。2−2の教室には誰もいない。
私の後ろの席のあいかちゃんはいつも早くて登校する時間が結構被るのだが、今日は会わなかった。
「今日もさぼっちゃおうかなー」
机の横に鞄をかけて、ぼーと外を見た。今日は快晴だ。



4月16日



「…、おい、起きろって!」
「ぅん、あと一時間…。」
「どんだけ寝るつもりだよ!」
「いっ!」
頭に鋭い痛みを感じて百合子は飛び起きた。そう、飛び起きたのだ。
「なぁーにすんだよ陽介!」
飛び起きついでに陽介の腹に肘鉄を入れた百合子ははっと我に返った。
「え、陽介!?ってことは今何時よ!もう午後になってんじゃないの!」
「んなワケあるか!お前ン中じゃ俺どんな扱いになってんだよ!」
「チャラ男な遅刻魔」
「…っ、おま、とにかく来い!」
肘鉄した手をそのまま掴まれて半ば引きずられる感じで教室を出た。
そのまま屋上につくと、誰もいないか確認した上で陽介は階段に通じる扉を閉めた。

「で、何の用かな。陽介くん?」
昨日のことはきっぱり忘れた風に、百合子は茶化して笑った。
「お前、チャラ男とか遅刻魔とか勝手に捏造すんなよなー」
「あっはは、いっつも待ち合わせの時間に遅れる人が何言ってんの」
陽介は色んなことを誤魔化すように百合子の話しに乗ってきた。
その顔に浮かぶ表情は乾いて見える。
「何よー、用ってそんな事。ならさっさと教室戻んなきゃ、今の時間分かんないけど休み時間なんてすぐ終わっちゃうでしょ?」
「それこそ何言ってんの、だろ。このサボり魔」
二人して噴出してしばらく笑った。

「あー、笑った笑った。」
ひとしきり笑い終わった時、タイミング良くチャイムが鳴った。
「こりゃだめだ。よし、陽介、今日は一緒にサボるぞ!」
「しゃあねぇな」
屋上でサボる時の特等席、陽がよく当たるフェンス下に座って、百合子は自分の横をポンポンと叩いた。
陽介はサンキュと言って百合子が叩いた場所に座る。
「そんで、昨日のことなんだけどさ」
「っ、あ、っと!」
「あ、陽介ちょっと待って。先に私喋らせてよ。」
「………おう」
陽介は百合子の横にいる。だからまっすぐ空を見上げている百合子の視界に陽介は入らない。
でも、百合子には陽介の表情が易々と想像できた。
「ごめんね。私、頭に血ぃのぼってた。陽介が、辛くない訳無いのにさ。」
親しい人を、また見殺しにした。それを考えたくなかったから、陽介に八つ当たりしてしまった。
陽介のシャドウの言葉。それは確かに陽介の心の隅にあった本音の一部。
だけどそれを言葉の通りに受け止めるのは、間違ってる。それが全てではない。
「小西先輩を殺した犯人、捕まえるんでしょ?」
頑張ってね。私にできることなら、協力するよ!
またできもしないことを言って、百合子は笑った。
「百合子…」
ありがとな。陽介は百合子の頭を抱えるように引き寄せて囁いた。
親愛のこもったその好意が、今は痛い。


ごめんなさい
いい人過ぎるのがいけないんだよ




11/06
一週間遅れ…


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