レン様はマイペースです。前編

レン様を甲斐甲斐しく世話するAL4の皆様と櫂くんのお話。ただの妄想です。



FFAL4のジェネラルと呼ばれる男、新城テツは苦労人である。

「レン様、朝です。というかもう直に昼です、起きてください」

「ん…も、ちょっと…」

豪奢なベッドの布団から漏れるまだまだ覚醒していない舌足らずな口調と声に思わず溜め息が出た。

「アサカが朝食も昼食も用意しています、それと今日は…」

櫂がこのFFの本部に訪れる、レンの元に出向いてくる予定の日。

「…?あっ!そういえば今日は櫂が来る日でしたよね、今準備して行きますから先に下りていてください」

「承知致しました」

嘗ての友でありながら主に忠実な犬のように付き従うテツ。
彼なりに思うところは色々あるが、やはりレンは放っておけなかった。
放っておいたらあっという間に薄汚れ堕落し消えてしまいそうで。

「しかし…櫂、何を考えている?」

たった4人で暮らすには少々広すぎる空間の中、階段をゆっくりと下りながら独り言のように呟く。

「自らAL4に入ることを望むとは…」

そう呟きながら、アサカが食事の用意をしているキッチンへ向かった。そこに、

「テツー、僕のシャツ知りませんか?」

とレンの割りと大きな声が聞こえる。
大方部屋から出ずに中から大声で呼ぶ、という横着でもしているのだろうと踏んだテツは、仕方無く来た道を引き返した。

こんこん、と律儀にノックし失礼しますと一声掛けて部屋の扉を開ける。

「僕のシャツ、どこに行ったか知りませんか?探しても見つからなくて…」

「はあ…どこを探されたのですか?」

「そこの箪笥を、」

「レン様、この間箪笥の整理をした際にあちらのクローゼットに移し変えたとキョウから報告を受けませんでしたか?」

またも溜め息を吐きつつ、きちんと情報を伝達出来なかった銀髪を心の中で叱った。

「ああ、あの少年ですか?興味が無かったので聞き流してました」

またか…と半ば諦めたようにシャツを仕舞ってあるクローゼットを開き1枚取り出すと、未だに箪笥の前に座り込んでいるレンに近付き丁重に服を手渡した。

ちょうどその時呼び鈴が鳴り響き、レンが今最も会いたいであろう人物がやって来た事を告げる。
ちらりと時計を見遣ると、きっかり約束の時刻になっていた。
真面目な所は変わらないなと懐かしく思い僅かに表情を和らげながらものそのそと徐に着替え始めたレンを見守っている。

「今のインターホン、誰でしょう?下に誰か居ますか?」

「レン様は少し時計を見て行動した方が良いかと…」

下でアサカが応対したのだろうか、玄関を通され階段を上ってくる気配が感じ取れた。

「…来たようです」

「俺だ」

「え?…あ、櫂!?」

驚いているレンを一瞥し、テツに言う。

「久しぶりだな、テツ…」

「…そうだな」

互いが昔を思い出し懐かしんでいた所に、扉を叩く音が転がった。直後に音を立てずに扉が開く。

「失礼します、レン様。お食事の支度が整いました、リビングにいらしてください」
それだけ告げると静かに扉を閉めて廊下へと消えていったアサカ。
優雅な仕草で、しかしレンへの忠義に溢れた立ち振舞い。

「アサカが折角いつもより早く起きて準備したんだ。櫂、お前も食べていけ」

「いいのか?」

「いいんですよ、アサカは優しいですから。」

いつの間にか着替えを済ませていたレンが突如会話に乱入してきた。

「そうか…お前達がいいなら、」

「アサカの手料理は美味しいんですよ?櫂の料理と同じくらい」

(まあ偏食家のレンに食わせる為に必死で練習していたわけだが)

若干複雑な面持ちでその場に佇んでいたテツは大柄な体躯を持ち上げ、何故かまだ座ったままのレンと落ち着かずに立ち尽くす櫂に下へ移動するよう促す。

「…行きますよ、レン様。朝食も摂っていないですしお腹も空いているのでは?」
「櫂、お前も下りてこい」

そうして二人も(約1名大変面倒臭そうに重い腰を上げていたが、)レンの部屋を後にした。



***
ちょっと長くなりすぎる気がしたのでとりあえずここまで。
今日の夜中か明日また続きを上げ…たいなあ…(遠い目)



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