フローライト・スプライト




座席について、ケーブルを差し込み、ようやく起動したスマホの画面には、夥しい数の着信とメッセージアプリの通知が浮かんでいた。

最新の着信履歴は主将のもので、積み上がった数は27。昨日の夕方から今朝方にかけて、時刻を追うとほとんど等しい間隔で不在着信が残っている。
最後のメッセージには「無事なら連絡しなさい」。ひどく心配をかけたことを今更ながら痛感した。唯一救いだったのは夜中の着信がないことで、少なくとも睡眠時間を削らないでいてくれた主将に土下座することを心に決めた。

同期、後輩、先輩と並ぶトークルームにとにかく既読をつける中、視線が吸い寄せられたのは洒落た後ろ姿、背中に流れるアッシュグレーのロングヘア。
液晶の上で指が止まって、数秒そのまま動かせなかった宮永翠の名前の欄を、思い切ってタップする。連なったメッセージには、意外な名前が載っていた。

『白河さん、今どこ?』
『連絡取れないって宮から聞いた』

どうして宮くんの名前が、そしてなぜ宮永さんに。…えっそもそもそれ治くんの方で合ってる?
思考が散りそうになったのは一瞬で、すぐにそれは消し飛んだ。

次の吹き出しは、可愛らしい「返信待ってる」のスタンプを挟んで、1時間ほど時間が空いていた。


『赤葦も探してる
心配してるみたいだから、無事ならそう連絡してやって』


不意にごうっと新幹線がトンネルに突っ込んで、気圧の変化に耳鳴りがした。

長い長いトンネルの中、揺れた心臓を押さえ込むのには時間が要った。素っ気なくも冷たさを感じない、短くて的を得た文面を、宮永さんがどんな顔をして打ち込んだのか、まるで想像ができなかった。

その赤葦くんのアイコンは、朝一番に着信を入れてくれた主将のすぐ下に連なっている。
不在着信が12。メッセージはない。一番新しい時刻は、新幹線に乗り込む少し前のものだ。

しばらくぼうっとトーク画面を見下ろしていた。液晶の照明が一段暗くなり、やがてブラックアウトする。蓋を開ければこんがらがって脳みそごと飲み込みそうな色々を、考え始めないよう抑え込むには力が要った。

現実逃避するように座席を見渡して、通路向かいでパソコンと向き合うサラリーマンの背中を見つける。始発の新幹線、出張だろうか。遠距離通勤なのかもしれない。移動中の仕事。

(…タスクマネジメント)

思考が滑った。
滑った先でぶつかった記憶の、古さと鮮やかさに息が詰まった。

「……は…、」

ため息に近い苦笑が漏れて、呼気と一緒に肩の力が抜けた。ついでに列車もトンネルを抜けた。駆け抜ける車窓の向こうには、見事な青空が流れていた。
自分に呆れているのに、どこか吹っ切って清々しい、そんな脱力感で頭が軽くなる。

タスクマネジメント。
感情を排した優先事項の取捨選択。今なすべき、できるベストを導き出し、それに尽力する。

赤葦くんが徹底していた、思考の整理と切り替え方。



「……ふッ!」

両頬を思い切り叩いた。ばちんという音にサラリーマンがぎょっと振り向く。それを多少申し訳なく思いつつ、じんじんする頬をそのままにスマホの液晶に光を戻した。

メモアプリを呼び出し、謝罪と現在地と会場への到着予定時刻、車内ゆえ通話ができない旨を書き出してコピペする。手始めに主将、監督、次いで部の関係者に定型分として返信し、宮永さんと宮くんには現着時間を省いて、文面を少し崩したものをトーク欄に貼り付けた。
…それから赤葦くんへ、ほぼ同じ文面に、新幹線の到着時間を加えて送る。

既読がついたかは見なかった。通知を切り、アラームだけ設定して、イヤホンを耳栓がわりに目を閉じる。
最速で会場に向かい、最善のコンディションでレースに臨む。そのためには新幹線を降りてすぐ会場に向かう必要がある。逆算すれば、少しでも体を休めることが火急の連絡を終えた今の最優先事項だ。

徹底すると決めた思考はクリアで、朝の車内の静けさは束の間の仮眠に最適だった。











深夜になってようやくわずかに微睡んだだけの両眼に、高く昇った朝日の暴力的な眩さは酷く堪えた。

突き刺すような光が眼窩まで貫通する。眩暈の予兆を感じてきつく目を瞑った。体は酷い寝不足と疲労を訴えていたが、意識は脳味噌に休息を許さなかった。夜明け前の浅い眠りを絶ったのは早朝に一度きり鳴ったラインの通知音。
心配をかけたことへの謝罪と、仙台発、東京着の新幹線の到着時刻。

鉛を飲んだように喉奥が締まって、目の奥がゆっくり暗くなった。
手の中の液晶の照明を落とせず、代わりに片腕で両眼を覆う。薄暗い寝室のベッドの上、どれくらいの間だったか、心臓を押し潰す重石にただ耐えた。
返信は打てなかった。


朝帰りで二日酔いの大学生にでも見えるんだろうか。改札口近くの駅員室から時折ちらちら注がれる視線に、思考の片隅でぼんやり思う。早朝の東京駅は通勤客や観光客ですでに賑わい始めていたが、日中に比べれば幾分落ち着いている。普段は忙しい駅員にも、不審者に目を配る余裕があるのかもしれない。

電光掲示板の表記が更新される。到着まで5分を切っていた。スマホを耳に、キャリーケースを引いた若い女性が、改札へ向かって通り過ぎていく。旅行だろうか──いや、きっと帰省だ。
柔らかく弾む声に拾った東北訛りに、思わずぐっと唇を結んだ。


大会会場に飛び込み、関係者を捕まえて彼女の不在を知った瞬間、その選択肢は赤葦の頭をよぎっていた。いや、どこかで悟っていたと言ってもいい。
だからこそ、会場から最寄りの新幹線の停車駅を検索し、仙台行きのダイヤも調べた。手がかりがまるで得られないまま迎えた夕刻には、蒼衣が東京近辺にいる可能性はほとんどないという確信さえあった。
それでも都内に彼女の足跡を追ったのは、…そうであって欲しいという、自分の身勝手で虫の良いエゴだ。

ヴーッ、ヴーッ。

「!」

手の中で震えたスマホに、壁に背を預けていた膝がかくんと折れた。ハッと持ち上がった瞼に、自分が少しの間意識が飛んでいたことに気がついた。
無料通話の着信画面。白河蒼衣。

応じた指は無意識だった。改札に目を凝らす余裕もなかった。床に目を落としたまま、行き交う靴音にもアナウンスにも何にも妨げられないように、ただスマホをきつく耳に押し付けて、耳朶を打つ彼女の声を拾う。

『……赤葦くん?』

中途半端に開いた唇が、声もなくただ空気を食んだ。
彼女を前に、これほどまでに言葉を枯らしたことはなかった。

『…探してくれてたって聞いて』
「…」
『心配かけてごめん』

ホームのアナウンス、雑踏を背後にして、返事のできない赤葦に対し、蒼衣の声は落ち着いていた。
腹を据えた声だ。迷いのない心持ちだ。蒼衣はもう、覚悟を決めている。

それなのにどうして───いや、本当はだからこそだ───山ほど泣いた後だとわかってしまうんだろう。

「───、……」

唇の内側を思い切り噛み締めた。そうやって言葉を飲み込んだ。

到着時刻を知らせながらも改札口まで現れず、電話をかけてきたことの意味はすでに理解できている。
何物も、言葉ひとつさえ、その意志を妨げることは赦されない。

蒼衣はもう、覚悟を決めているのだ。


「…泳ぐんだね」

代わりに捻り出したのは脈絡も何気もない、ひどく掠れて情けないもので、──それなのに。

『───うん』

その感覚を、どう表現したら良いのだろう。

返ってきた蒼衣の声が、鮮やかに、灼かに透き通る。
光の差した水面のように、雲海からあふれだす陽光のように。


『私、泳ぐよ』


厳かで拙い宣言だと思った。決然としていて、希うように揺れていた。

目も眩むほどの朝日を薄い瞼で押し留めて、その声音の一滴も逃すまいと耳を澄まして。


『泳ぐから、見ててほしい』

どこでもいい。会場じゃなくて、ライブでも良いから、


「見てて────」


スマホを押し当てた方と反対の耳朶を、電話線を介さない肉声が打った。


呼吸はおろか、ほとんど心臓も止まった状態で振り向いた先。

これでもかと目を見開いた彼女が、つんのめる様に急ブレーキをかけていた。










「…」
「…」
「……えー…っと」

大学指定のジャージ、急停止の慣性で腰前に飛び出したくたびれ気味のスポーツバック、反対の手には半分ほど握りつぶされたウィダーゼリー。
きらきらと、窓辺から差し込む高く昇った陽の落ちる瞳が、そろり、気まずげに揺らいで瞬く。

「……会わないつもりじゃなかったの」
「…そのつもりだったんだけど…」

居た堪れない。浮かぶ表情はそれ一色だ。
わかる、理解できる。決意表明もクライマックス、ドラマなら主題歌がBGMのハイライトシーン。敢えて電話を選んだ時点で場面転換までがワンセット、まさか顔を合わせるなんてシナリオ外だと言いたくなる。

だが実のところ、本当に頭を抱えたいのはこっちの方だ。
そろそろとスマホを降ろした彼女を前に、両の目頭を摘み潰すほど抑え、一旦一切の感情の電源を落として問うた。

「…乗り換え、次何分?」
「え?…えーと、8時半過ぎのと、40分前の…」
「メトロ?」
「うん」
「そう、じゃあ」

3分ちょうだい。


返事は聞かなかった。

一歩の距離を詰め、左肩のスポーツバックを無言で降ろさせる。されるがままのジャージの肘を掴んでそのまま腕の中に閉じこめた。

鍛えられながらも柔い体躯の、記憶に遠い体温に息が詰まる。加減のできない両腕でかき集めるように抱きしめたら、薄い肩へと額が落ちた。

覚えのないシャンプーの奥に、覚えのある肌の匂いがする。薄くて華奢な印象でいて、しなやかに鍛えられた体躯が視覚以上の質量を備えているのも変わらない。

抵抗はなかった。ただぎしり、無抵抗に硬直しただけの体から、おそるおそると力が抜ける。
ウィダーのない方の手が背に回って、そろり、撫でるように動いた瞬間、堪えていた全部が目の下から押し出された。

「…はーーーーっ……」
「…えっ?あ、あの、赤葦く」
「黙って」
「ハイ」

深呼吸する。いろいろ押し込む。感情の電源を再び叩き切った。
ふーーーっと息を吐き出して、諸々篭った熱を排出する。気分は膨張したリチウム電池、あるいは処理落ち寸前のPC。

仕方がない不可抗力だ、彼女の意図を掴んだ時点で全部済んでから会おうと決めたんだ。にも関わらず目の前に現れた彼女のせいと言ってもいい。いやそもそもコンディションが悪すぎる。睡眠不足は特にダメだ、情緒がいろいろ正常じゃない。だからこう、いや、…でも。

「…ごめん」
「…?」

戸惑いと混乱に怪訝を足して、白河がこちらを伺うのがわかった。その耳元に、彼女にしか聞こえない程度の声で、自分の身勝手を謝った。

あの報道後の昨日で今日だ。出場を続行し、会場に戻り、レースに臨むと決意するのは生半可のことじゃなかったはずだ。
ただでさえ雑念を排除するのが難しい状況で、余計なことを考えず試合に集中できるよう、独りでアリーナまで直行するつもりだとわかっていた。…わかっていたんだけど。

こぼした弁解を黙って聞いて、それから白河は口を開いた。
言葉を濾過するというよりは、取り出したそのままを手の上に乗せて、眺めるような口調だった。

「…それは…うん、まあ、そうだったんだけど」
「…」
「会うと、…会って、何を話したらいいんだろうって、ずっと思ってて…今も、あんまりわかってないんだけど」

俺の背中で所在なさげにしていた手が、不意にぎゅうと、シャツをつかむ。やや傷んだ黒髪の、丸くて形のいい頭が、預けた頭に傾げられる。

受け止めるようで預けるような、無造作で繊細な抱擁だった。
男女のそれと呼ぶには淡くて、コートの上で仲間とするのとは温度が違う。

静謐でいて総毛立つほどの、感動とも感傷とも言い難い衝動。視界の端に収めた小さな耳に、息を吸って膨らむ体の微かな震えに、どうにもできないほど心を揺さぶられる。

この形容しがたい感覚を、俺たち自身でさえ結局定義できなかった感覚を、細胞は全身で覚えている。
確かに思い出している。

(──“同志”)


これ以上はきっともう耐えられないのに、耳元で柔らかく滲んだ声はどうしようもなく素直で真っ直ぐだった。


「でも私、ほんとは会いたかったの」


同じプールにも、コートにも立てないって、ずっとわかってたんだけど。

きみとの距離も、私の水泳も。
梟谷にいた頃とはもう違うんだって、やっとわかったんだけど。


「京治くんが、ずっとそこにいてくれて、私の方がわかってなかったんだって、やっとわかったから」


会いにきてくれて、ありがとう。


笑う彼女の声は涙に滲み、晴れやかに煌めいていた。
何かを手放し、それを見送ると決めた、かろやかでさみしげな声だった。

それに相応しい笑顔をしているに違いない彼女に、それ以上に霞んできた視界を晒すのがこの後に及んでできなくて、俺は残りの数十秒を、押し潰すほどに彼女を抱き締めて消費した。



















揺れのない水面に反響する観客のざわめきが、関係者の慌ただしく行き交う通路にまで漂い出している。

大会二日目を迎える会場、ギャラリーの高揚と裏腹に、本戦に進む選手たちのひりついた緊張感と闘争心に満ちる待合スペース。
エントリーの最終確認に臨もうとしていた女が、その人混みをかき分けて近づいてくる声を聞き逃さなかったのは必然のことだった。

「すみません、通してください。…すみません、」
「…!白河!」

ぐるり、巡らした首と視線が定まった先、背丈も厚みも均並みの体躯が揉まれるように進んでくる。女──青翔大水泳部女子主将、もとい新城彗が発した後輩の名は、その肺活量に相応しい声量で周囲に響いた。
ざわ、と揺らいだ周辺の気配が、呼ばれた後輩を探してか視線を交錯させる。すぐさま捕捉されないのは競泳選手としては薄い体と、トップアスリートにあるような華やオーラのない佇まいゆえか。
この数日に現在完了進行形で巻き起こしている注目をするりと躱すように現れた後輩は、エナメルバッグこそ担いでいないが、ジャージと水着の失踪直後と変わらぬ出立ちをしていて、

「──ご迷惑をおかけして、すみませんでした」

90度に頭を下げる、その寸前に見た眼差しだけが違っていた。

「……連絡は」
「…スマホの充電が切れてしまって」
「どこにいたの」
「宮城の、」
「宮城ィ!?」

今度はひっくり返るようにして響き渡った新城の声に、固唾を飲むようにしていた周囲の部員たちが「主将、声が…」と慌ててクールダウンを入れた。その制止にはっと声を押し込めながらも、新城は詰問を止められなかった。

「…何しに!」
「あの、お見舞いに、高k」
「見舞いィ!?」

声のトーンがさらに上がった。ざわり、周囲がまたしても揺れる。次のそれは、今大会赤マル急上昇中の疑惑のスイマーが突如姿を消した真相が、思いもよらないものであることへの驚きの伝播である。
「いや、私のじゃなくて、先輩のおじい…」と言いかけた蒼衣を、周囲の部員たちは咄嗟に目線で黙殺した。主将の通りの良すぎる声によって周辺の部外者に、“白河蒼衣は東北まで近しい人の見舞いに行っていたらしい”という誤解が広まり始めているのを察したためである。
乗ってけ勘違い、訂正の義理などない。むしろ渡りに船である。

そんな周囲のフォローを背中に、新城はぐっと唇を引き結ぶ。唸るように問う声音に微かな緊張を読み取ったのは、それを飄々と見守る同期の女、もといその名を不破梢だけだった。

「……泳げるのね?」

蒼衣は瞳を瞬かせた。それはまるで、予期せぬ問いと言わんばかりだった。

「エントリー、いただけるんですか」
「…あっっったり前でしょ!?」

新城は吠えた。心外だ、見くびるな。これしきのことで──実際には結構な騒ぎになったので“これしき”でないのはまるっと無視だ──エントリーを取り下げ、仲間を干すような狭量な主将と思ったのか。
そもそも発端は蒼衣自身に責任もない逆不調(つまりは異様なる絶好調)だ。それに際してのメンタルフォロー・部の団結・メディア対応に遅れをとったのは、主将陣であり部であり大学だ。蒼衣が自身の異変を理由に出場を辞退するならまだし、潔白かつタイムだけなら絶好調の彼女を戦力から外すなど考えられない。

そんなことを噛み付かんばかりに捲し立てた女子主将に、成り行きを見守っていた部員たちは再三ひっくり返る声を諌めるのを諦め始め、序盤から面白がっていた不破は「ちょっと彗、謝ってんのか叱ってんのかどっちかにしなよ」とついにけらけら笑い出す。

謝罪か叱咤か境目の怪しい小言を浴びる間、蒼衣はぽかんと口を開けていた。同じように開けたままの瞳が、ふらり、同期も先輩も後輩も入り混じる仲間たちの安堵や苦笑を見渡し、それからゆっくり、唇が結ばれる。

涼やかでいて夏色をした瞳が、徐々に色を濃くしてゆく。
過ぎ去りつつある夏が燃えている。凝縮される静かでいて鮮烈な何かに、新城は不意に小言をとめた。次に出たのは、ほとんど挑むような口調だった。


「この際、距離もタイムもどうでもいいわ」
「、」


彼女は、彼女たちは知らない。


「──好きに泳ぎなさい」


弓につがえて引き絞った矢を放つように。

新城が蒼衣に言い放ったそれは奇しくも、篠崎光琉が舌先に乗せ、矢張り腹の底へ戻すことを選んだ言葉だ。


「…あっでもフライングはダメよ!失格したら意味ないかんね!?」
「アッハイ」
「わかったら準備!時間ないよ!」
「──はい!」

蒼衣の瞳に光が散った。
ここしばらく、茫洋と遠くを映していた硝子玉のようなそれじゃない。
サイダーに浮かべた氷に似た瞳に、盛夏を彷彿させる夏色のスパークルが踊るのを見て、新城彗は自分が確かに間違えなかったことを確信した。



240227
新城 彗(しんじょう けい)
不破 梢(ふわ こずえ)

アルペジオ時代の部員に初期から名前をつけたのであれば、この無視できない出演頻度になってしまった主将たちにもさっさと名前をつけておくべきでした…連載当初、こんなに出張るとは思っておらず…

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