曖昧なぼくらの手は、なにを掴むというの
(なにも掴めやしないさ)



突っ返された合い鍵を握りしめたら冷たかった
僕への愛撫が必要ですか
喉仏からは高貴な香りがした
どうしてお前はおれを手にかけるんだ
どうしてぼくはあなたを手にかけるんだ
いいよもう、泣かなくていいよ
肩甲骨の形を記憶している
引っ掻いて、舐めて、刻みつけて

なんでおまえはおまえなの
そのままくすぶってしまえばいい
それはね、なみだというのよ
眠れぬ夜は淫らになろうよ
エイトビートだとかはよくわからないけどおまえの心臓のリズムにならちゃんと合わせられるから心配すんなって
朝露と静寂と裏切りの跡

うつくしい指先に焦がれていた僕
あなたしか知らないと言ってもいいの?
詩人の自殺の理由は案外くだらないんだよ
たとえ両腕を失ったってこの唇があればおまえに触れられる
金木犀に導かれて埋葬
夕暮れ時に知ったあの子の彼
ドレミを忘れてしまった伴奏者
ロボットみたいに笑うプリマドンナ
階段を上ったら溶けた



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