| ▼▼ |
具合の大分良くなった沖田は千鶴に誘われ外を散歩する。 「千鶴ちゃんいい天気だね」 「そうですね、山茶花が綺麗です」 「山茶花かあ、僕は蒲公英の方が好きかな」 「蒲公英って人の足に踏まれてもまた立ち直るから強い花ですよね」 そう言い微笑む彼女に抑えている想いが口をついて出そうになる。だが告げてしまえば今の関係に支障が出そうで。沖田はそう考えを巡らせた。 「千鶴ちゃん？」 元服前の若衆のように頭上で高く結い上げた髪がゆらゆらと揺れる。 「はい、何でしょう」 律儀に返事した彼女に沖田は何を思ったのか千鶴の頭へ手を伸ばした。千鶴は、ぱちくりと瞳を瞬き沖田の動きに釣られるようきょときょとと動かす。それと同時に沖田の指が手触りのよさそうな髪の毛を一掬いしたのは。 「花冠作ってあげようか」 「えっ、」 沖田の問いかけに千鶴は動揺を隠せない風でぱちぱちと瞬きを繰り返した。沖田はそんな様子に益々、笑みを深め黄色の女郎花が鮮やかに咲き誇っているだろう縁側へ歩みを進める。暫く二人並んで歩くと目の前が開けた。 「綺麗ですね…！」 視界を埋め尽くす小ぶりながらも美しい花に千鶴は見とれているようで瞳をうっとりと輝かせている。 「気に入った？」 彼女の顔を覗き込み問いかけてみれば予想に違わず熟れた林檎のように顔を真っ赤にさせて。 「はい、気に入りました」 蚊の鳴くような小さい声音に沖田はくす、と笑みを漏らし相づちを打つ。 「なら良かった」 珍しく穏やかな口調で相づちを打った彼に千鶴は不思議に思い上目遣いで見上げた。 「沖田さんどうなさったのですか？」 さり気なく核心を突いてきた千鶴の台詞に沖田は参ったなあと心中で苦笑する。二人きりで少し油断していたのかもしれない。いつもなら冷たく突き放すのに今日に限って調子が狂ってしまったのが原因かもしれない。沖田はそう考えを巡らせ今の思考を気取られないようにっこりと、それはそれは綺麗に微笑む。 「ねえ、土方さんに花冠渡したらどんな顔するかな」 「はい？！」 いきなりの呟きに彼女は戸惑ったみたいで顔色を真っ青にし僕の腕にしがみついてきた。 「だ、駄目です沖田さん」 「何で？僕は面白いと思うけどな」 そうあっけらかんと言い放てば彼女は更に焦ったようで腕を掴んでくる。 「土方さんも最近お忙しいようですし一気に雷が落ちるかと」 「んー確かにそれもそうだね」 如何にも考え直すというふりで手を顎に当て空を仰いでいたら隣から息を吐き出す気配が伝わってきた。それに気づいた瞬間、何となく面白くなくなって沖田は眉を顰める。 「やっぱり止めた」 沖田のその発言に千鶴は面食らったようで暫くの間、首を傾げていた。 途中で切れているため尻トンボ状態ですが、一応沖田→千鶴→土方です◎ 斎藤に片思いさせようかなと思ったんですがありきたりなのでここは副長に任せようと投げ出しました(笑) どうやら私は副長を絡ませた三角関係や、または沖田そして斎藤を絡ませた三角関係が好きみたいです´ω｀* 単に書きやすいという理由も含まれていますが…。 沖田斎藤土方永倉はいじり甲斐もあり尚且つ、話を進めやすいので好きです！ 大鳥さんも好きですね〜。 |