amour7








拝啓仁王雅治様

改めて仁王君に手紙を書くなんて少し恥ずかしいですね…。

仁王君、私は元気です。

でも今は心がぽっかり開いてしまってます。
それもこれも全部仁王君のせいですからね!

…こんな文句も、貴方には伝えることは出来ないのですね。
貴方とはまだ沢山話したいことがあったのですよ。

…昔話でもしましょうか。立海に入学してすぐ、貴方を知りました。
多分貴方はあの頃私なんて知らなかったと思いますが…。
派手な髪の色、ちゃんと制服を着ない。
あの頃の私には仁王君のその態度が信じられませんでした。
絶対に仲良くなることはないだろうと思っていました。
テニス部に入部して貴方がいることに驚きました。
しかも、ダブルスを組むことになって…あの時はとても落ち込みました。
でも今では貴方と組めたことをとてもうれしく思います。
貴方とではなければこんなにも楽しく過ごすことは出来なかったでしょう。
高校に進み、貴方とまた3年間一緒にテニスが出来ることを楽しみにしていました。
ですが貴方は忽然と学校へそして部活へ来なくなりました。
柳君から貴方の病気を聞いた時は驚きよりも悲しみが強かったんですよ。
なぜ私に言って下さらなかったのですか?
多分貴方は「心配させたくなかった」と言うのでしょうね。
でも今さらそんなこと気にする間柄でもないでしょう?
貴方に何も連絡せずに病院へ行った時の貴方の驚いた表情、あれほど面白かったものはありませんよ。
あぁ、怒らないで下さいね。
貴方はいつも人を驚かせてばかりだからそんな表情を見て嬉しかったのですよ。
…あの時、私は貴方の病気をあまり現実視していませんでした。
だから貴方が死んだと聞かされた時、また仁王君のイタズラだろうと思っていました。
でも違った。仁王君はこの世からいなくなってしまった。
だってこんなにも身近な人、ましてや好きな相手がいなくなるなど考えたこともありませんでした。
でもなぜか涙は出ませんでした。
悲しくないわけではないのです。
あまりにも唐突すぎて私の思考が停止してしまったようでした。
それからは「なぜ仁王君が死んで私が生き続けなければならないのか」と考える日々でした。
でも貴方の手紙でようやく決心がつきました。
私は「仁王雅治」を一生忘れない。
そして生きていきます。貴方の分も。




…ねぇ、仁王君。
私にとっても仁王君は人生そのものだった。
私と仁王君はあまりに似すぎていた。
お互い目の前の世界に色なんてなかった。でも私達は出会い、そして色が生まれた…そう思いませんか?
お互いがお互いを必要とし合っていたんですよ。


私は仁王君を愛しています。
もちろんこれからもその気持ちは一生変わることはないでしょう。


こんな重い気持ちを受け取ってくれますか?













----------
遅くなり申し訳ないです。
やっとこさ完結しました…!
いい28の日ということですが死ネタです、すみません。

長かった…。多分この話を思い付いてから1年ほどたってしまいました。難産でしたね。
最初と最後で話の辻褄があってなかったら申し訳ないです!

amour
フランス語で「愛」
アデュー(adieu)がフランス語なので。

アナグラム前のmuora
イタリア語で「死」
これは偶然見つけ出した

本当に訳が合ってるか否かは気にしないでください←

この番外編…仁王君が死ぬ前の話を考え中です。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -