目が覚めるともう見慣れた天井があった
でも家の天井ではない

もう10時だ

カーテンを開けると春の日差し
俺にはあまり眩しすぎる
迷い入ってきた桜の花びら

何て綺麗な"灰色"なんだろうか

外の緑は黒、日差しは白
単調
何て綺麗なモノクロだ

そこに病室の開く音と聞き慣れた声が聞こえた

「失礼する」

低い声、安心する

「また来たのかい、真田も暇なんだね」

いつものようににこやかにからかう

「今日は休日だ、その休日をどのように使っても良いだろう」

彼は毎日のように来てくれる
というか、来ない日はないのだ
どんなに部活が長引いても来てくれる
俺にとって彼に会えることだけが今一番幸せなのだ

「体調の方はどうだ」

「うん、今日はまだ良いよ」

彼の顔が少しだけ緩む

「…そうか」

「真田、あのね」

俺は昨日医師から手術を受けるよう言われた

「幸村、俺は信じている、また一緒にコートに立てることを。
だから――――、泣くな。」

俺は泣いているのか
怖かったのか
怖い、怖い

「こわいよ…」

彼が俺を抱き寄せた

「俺がいる」

あぁ、この温もりをずっと
感じていたい

ベッドの上に迷い入ってきた桜の花びら

何て綺麗な"桃色"なんだろうか



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