行く水 | ナノ


改めてまして‐1

朝、黒子は目を開けた。

鳥の声がする。目覚ましは鳴っていない。

なんとなく目が覚めてしまったようだ。

現状を把握した黒子は、時間を確認するために枕元の携帯に手を伸ばす。


画面を開けば、なぜか受信メールがあった。


「…?」

昨日寝たのは0時だったはず。

ならこのメールは日付が変わってから送られたことになる。

こんな時間に送ってくるなんて一体誰なんだろう。


黒子は疑問を抱きつつメールを開いた。


送信者は『黄瀬涼太』だった。


『黒子っち!大ニュース!

緑間っちに彼女が出来たらしいんスよ!

ありえなくないスか!?』


「…」

黒子は黙って10秒ほどメール画面を眺めた。

それからのろのろと返信文を作成し始めた。


ご飯を食べ終えた後にでも返そう。そう思いながら。







あ、返信来てる。

通学のため、電車に乗っていた黄瀬は携帯が受信を知らせていることに気付いた。

開けばそれは黒子からのメールだった。


『おはようございます。

そのことならもう知っています』


あっさりこう返って来た。


黄瀬は目を見開く。

黒子が知っていることが意外だった。緑間と黒子はそのような話をする仲じゃないからだ。


黒子っち、もしかしてその彼女と会ったことがあったり?


黄瀬はそんな希望を抱きながら返信した。



そして数分後、またメールが来た。わくわくしながら黄瀬は画面をタッチする。


『知ってるも何も、同じ学校の友人ですから』

と書いてあった。

「マジっスか…」

ぼそりと呟く黄瀬。

ということは、その子は誠凛の生徒なのか。


昨日、緑間に問い詰めても彼女に関する情報は一切明かさなかった。

まさかこんなにあっさり身元が割れるなんて。


黄瀬は電車の外に流れる景色に目をやった。



一体どんな人なんだろう。

あの緑間の彼女というんだから相当に変人なんだろうか。

彼と同じ、おは朝信者だったりするんだろうか。

ラッキーアイテムに引いたりしなかったんだろうか。

どうして付き合うようになったんだろう。

誠凛の生徒と知り合うきっかけなんてどんなんだろう。




黄瀬はまだ見ぬ『緑間の彼女』に思いを馳せた。



/


‐8‐


[ 戻る ]



「#お仕置き」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -