ラストラスト



!あてんしょん!
このおはなしはぼーかりおどPさんの「ラストラスト」をイメージした曲なうえ、相互様である「月喰」さん宅の三日月ナユタちゃんをふんだんに(←)使ったコラボ小説です。
コラボやイメージ小説を快く思わない方はブラウザバックをおすすめします。

あと、変換しない場合は名前表記が「咲月」になってしまうので悪しからず!



※雨夜夢主











さらさら、さらり。
静かな教室に、筆運びのよい音が流れる。時折シャーペンの芯が折れ、その音が途切れることもあるが基本的に絶え間なく、その音は静かに教室に流れていた。

完全に集中力が切れた私は、私となっちゃんしかいない教室をふと見渡した。がらんとした教室は、妙な寂寥感を与える。なんとなく溜め息を吐き、次いで机の上の英語のテキストを見て再び溜め息を吐いた。

「…どうしたの、咲月」

溜め息が煩わしかったのか、なっちゃんがシャーペンを止めて私の顔を覗きこんできた。

「んーん、別になんにも」

「そう」

なっちゃんは頷くと、再びシャーペンを走らせた。さらさら、さらり。筆記体を描くシャーペンは、淑やかに舞う踊り子を連想させる気がする。さらさら、さらり。よし、私も再開しよう。

と、シャーペンを持ったとき、

「よお、咲月にナユタ。居残って勉強か?勤勉だなー」

「…………」

「…………」

不知火会長が教室に入ってきた。暇そうだな生徒会長。

「どれどれ、俺が勉強みてやるよ。なんだ?二人して英語か?」

うるさいな。…でも、まあ、勉強みてくれるなら教えてもらおう。せっかくだし。

「不知火会長、ここ教えてください」

「えーっと、どれどれ?…あー、ここはだな、過去完了を使って英作文をつくるんだ―――」
























「というわけだ、わかったか、咲月?」

「ふおお…すっげーよくわかりました!ありがとうございます不知火会長!」

「なに、当然のことをしたまでだ!」

ふふん、と胸をはる不知火会長。そして、今まで黙って課題をこなしていたなっちゃんに話しかけた。

「ナユタは、何かないか?なんでも答えるぞ?」

「…………なんでも…?」

不知火会長を疎ましげに見ながら、小さく呟いたなっちゃんは、少し考える素振りをしてから、不知火会長の目を真っ直ぐに見ながら、言った。

「どうして、ピリオドひとつで終わってしまうんですか」

「…………へ?」

「なっちゃん?」

「英語は、ピリオドひとつで終わってしまいます。日本語にはたくさんの接続詞があるので、いつまでも…下手すると無限大に文章を繋ぐことができます。だけど、英語は繋げたい文があっても、接続詞が少ない…いや、私があまり知らないだけかもしれませんが…ピリオドで一度区切ってから、また新しい文を書いて繋いでいかなければならないでしょう。……何故…何故ピリオドで終わってしまうんですか、一樹先輩」

静かな教室に、凛としたなっちゃんの声が響く。
不知火会長は私となっちゃんを少し見比べたあと、静かに口を開いた。

「俺たちは、星詠み科だ。どうにもならないことを、どうにかできる資格を持っている」

「……どうにもならないこと」

「そう、普通の人間が避けられない事実を俺たちは変えることができるんだ」

変えることが、できる。
革命、みたい。不知火会長の言葉を聞いて、何故だかそんな単語が脳裏をよぎった。

「こんな捩れた世界でも、お前は夢を見て、未来を知るだろう、ナユタ」

「…………はい」

「咲月はフラッシュバックするんだっけか」

「はい」

「そして、俺も星詠みで先を知る。この力を持っている俺たちは、普通の人より少しラッキーだと思っているんだが、それが何故かわかるか?二人とも」

不知火会長の問いに、なっちゃんが顔をしかめた。なっちゃんはこの能力をあまりよく思っていないから、当然といえば当然なのだけど。

「……わかりません」

「何故ですか、不知火会長」

不知火会長は私たちの顔を見てニッと笑うと、なっちゃんのシャーペンを取って、ルーズリーフにピリオドを書いた。

「いいか?ナユタ、咲月。このピリオドが普通の人間だとする」

私たちが頷いたのを確認すると、不知火会長はそのピリオドにしっぽをつけて、カンマに変えた。

「これが、未来が見える俺たち星詠みの人間だ」

「……どういうことですか?」

なっちゃんの眉間にシワが刻まれる。正直言って、私も不知火会長の言うことがよく理解できなかった。
なっちゃんの怪訝そうな顔にも、不知火会長は嫌な顔ひとつせず、むしろイタズラを思い付いたときのように、にやりと笑って言った。

「カンマは前にも後ろにも世界がある。…俺たちは『カンマ』なんだ。つまり、未来を繋いでいくことができる」

「…………」

「…………」

「『ピリオド』は終わりの終わり。だが、『カンマ』は終わりの続きだ」

…ああ、なるほど。なんとなくだが、不知火会長が言いたいことがわかった。

「咲月、わかったか?」

「はい、なんとなくだけど」

「なんとなくでもわかればよし!ナユタは?」

「…わからない。どうして、私たちが『カンマ』で、他の人が『ピリオド』なんですか」

顔を歪ませて、不知火会長を睨むなっちゃん。まあまあそんな怖い顔しなさんな!

「ねえ、なっちゃん」

「…なに、咲月」

「カンマは、繋ぐ力を持ってるの」

「…それは、わかる」

「ピリオドは、終わるの。ここまで言えば、なっちゃんだってわかるでしょう?」

「………!」

なっちゃんの顔を覗きこむと、彼女は面食らったような顔をしていた。
ぱっと不知火会長を見ると、会長は満足そうに、笑っていた。


「ピリオドひとつで終わらせるんじゃなくて、俺たちがカンマで繋げていくことによって、意義のある『ピリオド』にして終わらせるんだ」


だから、ピリオドはひとつだけで終わるわけじゃない。わかったか、ナユタ?不知火会長の言葉に、なっちゃんはわかりました、と小さく微笑んで頷いた。
その光景に、私も不知火会長もつられて笑った。
















ラストスト

まだだ。まだ終わらんよ!
















◎どうしても書きたかったんだ、ラストラストで…←
Kさんナユタちゃんお借りしましたああああ!!キャラ崩壊誠に申し訳ありません…!
でもすごい楽しかった!←


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