>> 第6章




辞書二冊分の厚さの書類は、本当に簡単な作業だった。というか旺季さん家に世話になっているときにやらされた作業の一環だったので慣れっこで、非常にやりやすかった。普通にその日中に終わったので、ふんふんと鼻歌を歌いつつ御史台の敷居を跨ぐ。

皇毅さんできました、と御史太夫室に顔を出すと、皇毅さんは不在でした。なんだよ居ないのかよ。

「居る」

「うああああ!!?」

ぬっと後ろからでてきた皇毅さんに思わず書類を落としそうになった。あっ、あぶねっ…!!

「ご苦労。下がっていいぞ」

「えっ見ないんすか」

「…あとで見る」

「ふーん…では、失礼しましたー」

とりあえず一仕事終わったし、執務室にでも寄ってみよう。誰かいるかなあ。



零夜が御史太夫室を出ていってしばらくした頃、清雅が訪れた。

「あいつは、使えますよ」

「そうか」

「ええ。この量を短時間で済ませたうえにきっちり昼寝もしてからここに来てましたから」

「………………そうか」
















執務室に行ったら、絳攸と霄太師がいた。

「あれっなにしてんの」

「なんだ零夜か」

「なんだとはなんだ。あっ零夜様!!今日も零夜様をこの目に写すことができてこの絳攸は大変嬉しい限りでございます!!ぐらい言えよ」

「てめー俺のことなんだと思ってんだコノヤロー」

「あー言えばこーゆう(笑)」

「零夜殺す」

「返り討ちにしてやんよ!」

二人でぎゃあぎゃあと騒いでいたら霄太師に咳払いされた。チッあと一突きで目潰しをキメることができたというのに!

「李絳攸殿、藤零夜殿」

「はい」「はい?」

きちんと姿勢を正す絳攸と、気軽に尋ねる私。絳攸がバキッと私の頭を一殴りすると、無理矢理姿勢を正させた。

「主上に政を執り行って頂くため、とある作戦を実行する」

「作戦…ですか」

「なにそれ」

「うむ、それはな―――、」






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