水嶋さんに今度会ったときは携帯をボイレコ状態にしておこうと決意し、再び学園内をうろついていると何やら騒がしい声が聞こえてきました。なんでしょうか。嫌な予感がします。しかし好奇心が疼いております。少し覗いてみましょうか。

「ぬははー!梓がぱっつんなのだー!」

「あのねぇ…誰のせいだと思ってんだこのバカ翼!!」

「バカとはひどすぎるぞ梓ぁ!」

「やかましいわこの発明バカ!ほんっと、おじいちゃんそっくりだな!」

「ぬははっ!」

「…………」

おお…!すずけんとじゅんじゅん…!!なんてこった、すっかり忘れてました。そういえばこの2人は従兄弟同士なんでした。ああなんて美味しい設定!!ありがとうスタスカ!血縁関係とか腐女子にはたまりませんもぐもぐ。

「ぬ?」

「どうした、翼?」

「なんか、人がいる」

「人?」

「あ、」

おっと、見つかってしまいました。逃げようか留まろうか迷いますね。とりあえず涎拭いて逃げますか。

「あ、逃げた」

「ぬははっ待てー!!」

「えっ追いかけるの!?」

「えっなんで追いかけてくるんですか!?」

おかしい。何故追われているのでしょう。こんな腐った女は捨て置いて、さっさとイチャコラしていればいいものを。

「はあ疲れた」

100mくらい走ってみましたが疲れたのでやめました。ニートだから体力ないんですよ。すみませんね。

「ぬははっ、捕まえたー」

「わあ捕まったー」

「えっと、どちら様ですか?」

すずけんに後ろから羽交い締めされて、正面にはじゅんじゅんがいます。ああ幸せです。今なら死んでも悔いはない。

「先輩?」

「あ、えーっと失礼しました、私は雲居常葉です」

「そうですか。僕は木ノ瀬梓」

「俺は天羽翼だぞ!ぬは!」

ええ、とてもよく存じております。いつも萌えをありがとう。

「ところで、お2人はあんなところで何を?」

ホモかホモなのか。全裸待機!
顔には出さないようにして興味深げに尋ねると、木ノ瀬くんがあああれはですね、と気だるげに返答。

「翼が学園内を探検したいっていうから付き添ってたんですよ」

「ぬははー!梓は優しいからな!」

「別にそんなんじゃ…って先輩!?雲居先輩!?どうしたんですか!?」

「え?」

なんですかじゅんじゅん、私の顔に何かついてますか。

「ぬわわぁ〜!!常葉!鼻血鼻血ー!」

「あら」

いつの間に。道理で何か滴ってると思ったら。私の鼻血だったのですね。

「てぃ、ティッシュティッシュ…!」

「ああ、大丈夫ですよじゅんじゅ……梓くん」

「え?」

「常備してますから」

ティッシュを取り出し鼻につめてどや顔を決め込むと、梓くんは半笑いで「そうですか…」と言った。おい笑えよ。

「常葉、面白いな!」

「そうですか?」

それはどうも、と笑うと翼くんはじゃあ!と言って私の手をとった。

「常葉も学校探検しよう!」

「えっ」

まじすか。まあ暇だからいいけどね。






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